対称性の破れ:宇宙・200億年の旅ー5

電弱理論

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もともと四つの力を運ぶ粒子というのは「小さなエネルギー」の塊である。もしエネルギーが充分にあれば「重い粒子」をつくるか「速度の速い粒子」が生まれ、長く生き延びる事が出来る。ところで電磁力を運ぶ光子には質量が全くない。ということは小さなエネルギーでも作れるという事である。光子は驚くほど長い距離を飛ぶことが出来るので星の光を運んで宇宙を飛んでいる。弱い力を運ぶウィーク・ボゾンという粒子は比較的重い。だからそれを作るのに大量のエネルギーを必要とし、すぐに消えてしまう。光子は質量がゼロであるのに対しウィーク・ボゾンは重い。これが電磁力と弱い力のはっきりとした違いである。光子ははるか遠くまで飛んでゆくが、ウィーク・ボゾンはめったに原子核から出てゆくことはない。しかし、統一理論の立場から見ると、十分に高温の状態であれば二つの力は一つになる

 

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「電弱理論は、電磁力と弱い力は一つなんだ、同じなんだと考えるところからスタートする。とりあえずウィーク・ボゾンという粒子があってその中のW粒子とZ粒子が入れ替わることで力が伝わると思ってほしい。こいつらすごく重いんで行動半径も狭い。この粒子たちは一種の家族というのかな、それも4人のメンバーが強い絆で結ばれた家族を構成しているんだよ。W+とその反対の電荷を持ったW-、それに電気的に中性、四人目はほら、あの光子さ、電磁力を伝える。四人は仲のいい兄弟で対称性理論からいえば全く同じなんだけど、現在は対称性が破れているんでね、対称性は電弱理論の方程式にはないんだ、素粒子の中にもない、だからW粒子やZ粒子が光子よりも重いっていう区別が出てくるんだよ。こんな場合四つの粒子は、それぞれ別の性質を持つから、話が厄介になるのさ。ところで、きわめて初期の宇宙では温度が想像を絶するほど高く、対称性は破れていなかったと考えられる。当然そんなところでは四つの粒子に区別はなかったし、従ってこの粒子が媒介する力も、計算上同じだと言うだけではなく実際にも一つだったと、まあ、こんな風に考えたのさビックバンの頃に物理学者がいたとしたら、まあ、そんなことは無いんだけどさ、四つの粒子を別々に取り出すなんて、とても出来なかったろうね」ー

スティーヴン・ワインバーグ、1979年度ノーベル物理学賞

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