実質賃金の低迷: JAPAN繁栄への回帰-2

「JAPAN繁栄への回帰」JAPAN THE RETURN TO PROSPERITY

ラビ・バトラ著、青柳孝直+山田智彦訳、総合法令、1996年より

 

実質賃金指数 1950年~1973年

実質賃金指数や税引き後の賃金は生活水準を表している。特に税引き後の賃金は消費に直接結びつくために、より的確に表す。そして実質賃金指数は、生産性と比較することが重要である。

 

一人当たりのGDPはインフレの影響を調整した後で、1950年から1973年までの23年間で437%分の増となっている(38万円から204万円)同じ期間の税引き前の実質賃金は307%分の増となっている(19.5から79.4)。したがって307÷437=0.703となり、実質賃金の上昇分は70.3%となる。プラウト経済における生産性の上昇に対する理想的な賃金体系では、その生産性上昇分の70%が労働者に対して向けられ、30%分が不動産や資本に向けられるべきと考えるので、1950年から1973年までの日本は、プラウト的には理想的な賃金体系だったつまり勤勉さや仕事の効率性が高賃金として比較的報われていたので、労働の搾取は行われてはいなかったといえる

 

1973年以降の実質賃金

1973年以降の実質賃金は1973年59.5から1993年には61.3となっている。税引き後の実質賃金が多少上がっているが税負担の上昇で帳消しになり、1975年以来足踏み状態になっている。国民一人当たりのGDPに76%もの上昇があったのに、このようなことが起きていたのである

 

実質賃金指数と一人当たり実質GDP (1973~1993、1990年がベース)

年度 実質賃金 租税負担(%) 税引後賃金 一人当たりGDP
(単位:百万円)
1973   79.4   25.0   59.5   2.04
1975   80.2   25.8   59.5   2.07
1980   85.5   31.3   58.7   2.46
1985   89.8   34.6   58.7   2.85
1990 100.0   39.6   60.4   3.49
1993   99.8   38.6   61.3   3.59

出所:日本銀行「平成6年版経済統計年報」ほか

「JAPAN繁栄への回帰」p217ー表3

 

生産性の伸びによる恩恵はどこに行ってしまったのだろうか?税引き後の実質賃金などの伸びが少ないので、この生産性の伸びは労働力にではなく、政府や他の資源である資本や不動産の所有者に行ってしまったに違いない。

 

そこで租税負担率を見てみると、同じ期間に25.0から38.6へと54%の上昇分があったことが分かる。つまり、生産性の向上の半分以上が政府に行き、実質賃金が足踏み状態ということは、残りの上昇分46%のほとんどが高い利潤と賃貸料という形をとって、資本と不動産にいってしまったのである。たしかに商業用・住宅用の賃貸料は1973年以来、消費者物価指数より速いスピードで上昇しているのである。

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