他人に対する無関心

我々はみな、他人の不幸を平気で見ていられるほどに強い。

⇒ ラ・ロシュフーコー

 

すべてのナルシシストの特徴である感情の否定は、その対他行動において明瞭だ。彼らは他人に対し、無慈悲で、搾取的で、破壊的にふるまう。なぜなら、彼らは他人の苦痛や感情に鈍感だからである。

 

共感、すなわち他者の気分や感情を感じる能力は、共鳴の働きである。他人の悲しみが感じられるのは、それが私たちを悲しくさせるからであり、喜びを共有できるのは、それが私たちを心地よくさせるからである。

 

だが、もし悲しみや喜びを感じることができないのであれば、私たちは他人のそうした感情に答えることは出来ない。自分の感情を否定する人は、他人が感情を持っていることも否定するのである

 

良心の呵責なしに従業員を酷使し、人の感情などおかまいなしに、感受性にたいする無関心と無差別爆撃によって恐怖支配をつくりだす企業の重役のような、ある種のナルシシストたちの無慈悲な行動は、このような論拠によって説明することができる。

 

もちろん彼らは自分自身に対しても過酷である。権力や成功という目標は、彼等にも等しく、自分の感受性や感情を犠牲にすることを要求するからである。そのような企業家は、軍隊を率いる将軍のように自分をみなしている。経営の成功が戦争での勝利を意味するのだ。そんなイメージがあって初めて、戦時下において取り換え可能な兵士のように部下を扱うことができるのである

 

私たちの文化がナルシシズムを促進する原因の一つは、勝利の重要性に対する過大な強調である。「勝たなければ意味がない」とは広く受け入れられたスローガンではあるが、このような態度は人間の諸価値を軽んじさせる。勝利し、人の上に立ち、ナンバーワンでなければならないという圧倒的な目標は、人間の感情を圧殺する

 

成功のイメージが行動を支配する力をもちうるのは、感情が否定されるときだけである

➡ A・ローウェン「ナルシシズムという病い」文化・心理の病理(新曜社)より

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