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重商主義の幽霊

結局問題は「国威発揚」なんです。⇨ 藤原直哉

 

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NHK・欲望の経済史「ルールが変わる時」特別編より

貿易差額こそ、イギリスの富を増大させるものだ。そのためには、輸入額よりも輸出額を多くしなければならない。輸入品には多くの付加価値をつけて再輸出するのだ。⇨ トーマス・マン(イギリスの実業家、経済学者)

 

アジアに赴いた商人たちは、現地支社をつくり、常駐して、強固な貿易ネットワークを築く。これにより、欲しい商品を安く買えるようになった。

 

インドで買った綿製品は、ヨーロッパや西アフリカに輸出し、中国の茶葉はボストン港まで、はるばる輸出されました。18世紀までに、巨大な国際貿易システムが確立され、世界はつながったのです

⇨ ローバート・ブライス(海洋博物館 学芸員)

 

空間を移動させることにより、商品に貴重性という付加価値を持たせることに成功した東インド会社。貿易黒字至上主義ともいうべき経済のルール「重商主義」の誕生である。

 

重商主義は貿易で貴金属、貨幣を蓄積し、国を富ませることを何より是とする思想だが、実際は「軍事力」とも深く結びついていた。

 

重商主義のポイントは富を増やすことと、軍事力です。国家は力を持ち、裕福であるべきだと信じられています。仮に、中国が裕福になるということは、国際バランスが変わるということなのです。

 

当時のインドネシア、スパイスアイランドと呼ばれた島々の香辛料を独占すれば、価格を釣り上げて大儲けできました。そのためには、軍隊を使って貿易を統制する必要があります。貿易ルートを意のままに独占するため、ヨーロッパは軍拡を繰り広げました。

 

富を得る為の軍事力であり、軍事力の為の富だったのです。したがって、どれほどの金や銀を保有しているかが、最大のポイントでした。金銀は軍拡競争にとって、最も大切です。世界のどこでも通用しますから。傭兵など、多くの軍事費に金銀が費やされました。貿易黒字至上主義は、軍拡のために必要だったのです。⇨ ケビン・オウローク

(オックスフォード大学教授・経済史)

 

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トーマス・マンのように、国家の利益を第一に考える人々のなかに生まれた「愛国心」。グローバル競争のなかで、「ナショナリズム」が芽生えた

プロテスタンティズムとグローバリズム

宗教改革の指導者ジャン・カルヴァン(1509-1564)

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NHK・欲望の経済史「ルールが変わる時」特別編より

 

1576年に出版された著作でカルヴァンは、お金を貸すことは、家や農地を貸すことと同じという理由から、カトリックが利子を禁じたのは間違いだと指摘した。カルヴァンは5%を超える高利を禁じたうえで、利子を認めた。

 

カルヴァンは、カトリックは利子を禁じたが、偽善だったと言っています。裏では何らかの手段で、利子がまかり通っていました。⇨ フランスワ・デルマンジュ(ジュネーブ大学 神学部教授)

 

一方、1745年、ローマ教皇ベネディクト14世の回勅後、「時間には価格がある」という考えが広まり、カトリックでも利子が認められるようになる。欲望の肯定により、ルールが書き換えられたのだ。

 

グローバリズムの始まり

資金を貸し、新たな利益を得るという欲望は、時間を超え、空間へと広がり始める。地理的差異を利用して利益を得るという、新たなルールが誕生する。

 

17世紀の大航海時代、アジアやアメリカ大陸など、新しい市場の富を独占しようと欲望が渦巻く。1600年、最盛期にはインドの統治機関でもあった、イギリス東インド会社が創業する。

 

多国籍企業やグローバル企業、雇用の移動など、今では珍しくありませんが、東インド会社こそ、世界初のグローバル企業です。インドや中国、オーストラリア、アフリカ、アメリカ相手に貿易を行いました。世界中の人が英語を話します。共通語として英語が話される理由は、東インド会社です

 

世界の25憶人が東インド会社と、感情的なつながりがあると言ってもいい。潜在意識に染み込んでいるのです。隅々にまで浸透し、ほとんど気づかないのです。⇨ ザンジーブ・メフタ(イギリス東インド会社 会長)

錬金術のレトリック

金貸しが高利をとった時は、元金を没収する。⇨ ハンムラビ法典

 

NHK・欲望の経済史「ルールが変わる時」特別編より

シェイクスピアの警句

古い書物を読むと、キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教、アリストテレスに至るまで、みな利子に対しては否定的。利子は忌むべきもので、富を生み出す一方、「禁断の果実」でもある。

 

しかし、申命記に「異邦人には利子を付けて貸し付けてもよい。ただし、あなたの兄弟に貸すときに、利子をとってはならない」。とあるように、ユダヤ人は、仲間とその他を分けて考えた。彼らの多くが生業としたのが「金融業」である。

 

ヴェニスの商人」でも、利子は否定的に見られている。シャイロックは利子として、商人の腹の肉1ポンドを要求するが、シェイクスピアは利子と債務の恐ろしさを表したかったのかも知れない。債務によって血を流し、命を落とすこともあるんだと

⇨ トーマス・セドラチェク(経済学者)

 

富の錬金術

15世紀のイタリア・フィレンツェでは、経済が活発化し、金融業が盛んだった。銀行家・メディチ家は規制を巧みにかいくぐり、巨万の富を築いた。二代目・コジモ(1389-1464)は、ジュネーブ、ロンドンなどヨーロッパ各地に支部を創設し、富を生み出すネットワークをつくり出す。

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今、フィレンツェでは、1フィオリーニ・100ペンスだが、ロンドンでは80ペンス。同じ1万ペンスでも、ロンドン支店で両替させれば・・・・。

 

利子を隠し、儲けるための簡単な抜け道は、為替のシステムにありました。貸し手と借り手の間で、為替を利用してお金を交換すれば、利子を隠すことができたのです

 

メディチ家は、貸し倒れのリスクを防ぐため、毛織物やシルクの工房も経営していました。とても、抜け目ないですね

⇨ アンジェラ・オルランディ(フィンレンツェ大学 准教授)

 

コジモはまた、教会に対し莫大な寄進をした。

 

富をもてば、町の人たちの妬みを買いました。そのため、街の人たちにお返しをし、世間体を良くしたいという気持ちもあったのでしょう。さらに死後は天国へ行きたかったため、イメージを良くしたいと強く願っていました。⇨ ルドルカ・セブレ・ゴンディ(美術史家)

 

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皮肉にも、欲望からの罪の意識は、芸術家を支援する動機となり、「ルネサンス」として開花することになる。コジモは、多くの芸術家たちのパトロンとなり、莫大な富を社会に還元した。

時が富を生む魔術「利子」

NSPチャンネル:いよいよ「日本刷新」のとき |藤原直哉理事(NSP第16期総会イベント基調講演)より

 

あまりにも世界が乱れて、地球が持たないからなんですよね。これの最大の元凶が金の話なんです。今の金融システムに最大の問題がありまして・・・・。利子を取る金融というものの恐ろしさは、昔から言われているんですが、いよいよそれが限界を超えたのが、リーマンショックなんです。

 

債券数理こそが崩壊の始まりだったんですね、今、しみじみと思いますけど、要するに金利をめぐる現在価値とか、将来価値の計算方程式こそ、「悪魔の方程式」だった。それが今よくわかります。で、これをイギリスが始めて、それに乗っかった現在の、アメリカの支配なんですよ。

 

ところが、街金型金融だから、つぶれた人から全部、分捕っちゃうんですよ。だから、いつもそこには恐慌があり、勝った奴らがどんどん富を集積するという、不均衡の増大が止まらないわけですね。さすがに大恐慌(1929年)の後、一旦、街金融型を規制したんだけど、1970年代から規制緩和が始まって、80年代90年代と、アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国を始めとする世界に広まって、5年から7年おきに、次々恐慌が起こるんですよね。

 

NHK・欲望の経済史「ルールが変わる時」特別編より

デヴィッド・グレーバー「負債論

金の成り立ちは、債務を負わせることにある。貨幣の真の起源は、犯罪と賠償、戦争と奴隷制、名誉、負債、救済のうちに見出しうる。貨幣は借用書と同じ。貨幣を持つことは、国家から債務を負うことに等しく、暴力的な回収を受ける危険性もあった。

 

紀元前2400年ごろ、メソポタミアではすでに、地方の役人や大商人が、財政難に陥った農民に、担保を取って貸し付けを行い、返済できなくなると、財産を取り上げることが、広範な習慣だった。何らかの理由で不作が来れば、膨大な農民が負債を負い、家族はバラバラになっただろう。家の差し押さえを恐れて逃亡し、土地は放棄された。

 

全面的な社会崩壊の可能性に直面し、歴代の王は繰り返し債務の帳消しを行った

あからさまに攻撃的な人

ドン・リチャード・リソ「性格のタイプ」春秋社より

タイプ8は<関係の三つ組(タイプ8、9、1>に属し、<関係の三つ組>はどれも、環境を自分自身に適合させようとする。タイプ1は環境を完全に支配しようと努力し、タイプ9は環境と和合しようとする。タイプ8は環境を支配し、圧倒しようとするために、環境の中のあらゆるものに関わり過ぎる傾向がある。

 

すべてのタイプの中で、タイプ8はあからさまに攻撃的である。彼らは責任を引き受けると同時に、自分の意志を押しつける。タイプ8は非常に意志が強く、力に満ち、分かりやすいが、扱いにくい人である。なぜなら、思い通りにふるまうことが、彼らにとって、とても重要だからである。

 

健全である時、タイプ8は巨大な自信と意思を使って、建設的に環境を作り変える。しかし、もし不健全であれば、持っている力のすべてを、他人に打ち勝ちたい欲望のために使ってしまう。コストがどんなものであれ、すべてを破壊するとしても、それが彼らの欲望である。

 

タイプ8の問題は自分が、他の誰よりも強いと信じているところにある。彼らは他のどのタイプよりも、強固な意志と、ひたむきな精神を持つが、強情さを自由にすると、自己主張する彼らの能力の破壊力が強くなりすぎる、ということに気がついていない。あらゆる機会に自分自身を主張することにより、徹底的に支配し、他人を人間扱いできなくなり、自分自身も非人間的になる。タイプ8は、ユングの類型論における、外向的直観タイプに相当する。

 

 

C・G・ユング著「タイプ論」みすず書房より

外向型直観の人は、何か新しいもの、進行中のものに対して鋭い嗅覚を持っている。いつも新しい可能性を求めているので、安定した状態には息が詰まる。新しい可能性が、それまでの信念に反することであっても、理性も感情も、彼を恐れさせることは出来ない

 

他人に対する思いやりは薄い。他人の精神的幸福は、自分の幸福と同様、彼には重要ではない。同様に、他人の信念には、ほとんど配慮しない。そのため、しばしば節操のない山師とみなされる

 

彼の直観は、外界に存在する可能性を探し回り、その可能性が存分に開発できる職業を選ぶ。実業家、起業家、投機家、株式仲介人、政治家などはこのタイプに属している。

 

このタイプは、経済的にも文化的にも、彼の意図が良心的で自己中心的なものでなければ、非常に重要である。彼らは、前途有望な少数派の擁護者である。直観が、物事よりも人物に向かえば、人々の潜在能力を的確に測る能力により「人をつくる」ことができる。

 

勇気を鼓舞し、新しいものに情熱を燃やす彼の能力は、他の追従を許さない。もっとも、翌日にはその能力を捨ててしまうかもしれないのだが。直観が強ければ強いほど、彼の自我と心に描く可能性は、すべてよく溶け合う。洞察力に生命を与え、確信をもって示し、劇的な情熱で具現化する。これは演技ではない。一種の宿命である

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