弱さを認める勇気

私たちはこの地球上での私たちの生命の物語を、打ち続く成功の連なりとしてではなく、喜びと苦難の歴史として見る必要がある。今日の社会において、苦しんでいる何百万という人々のことを、そして過去における彼らの苦しみが今日の私たちの豊かさを可能にしたことを、思い出す必要がある。私たちは結局のところ、この地球上において無防備である。物質的な所有は、私たちに幸福をもたらさなかった。私たちの軍隊は、核による破壊を防ぐことは出来ない。いかに生産性を上げたところで、新しい武装システムを作ったところで、私たちの真実を変えることは出来ない。➽ロバート・N・ベラー他共著「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ(みすず書房)より

 

  スプリンターセル・ブラックリスト 合衆国大統領就任トレーラー

 

ツインタワーが燃えながら崩れ落ちるさまを、全国民が震えながら見つめました。なぜアメリカがこんな目に、いったい誰が、これほど原始的な手段で帝国の心臓部に切り込んだのか?私たちは新たな世界秩序を目指し努力してきたではないか。第二次大戦後、60年に渡って悪を封じ込めてきたではないか。広島と長崎の後は、原爆も落としてはいないではないか。???

 

アメリカの一部の権力者は、テロリストからヒロシマを、あるいはパールハーバーを頭上に落とされたように感じました。全面戦争が叫ばれました。怒りとその怒りを正当化する言葉が、世界を駆け巡ります。黒いエネルギーと混沌の恐怖が、巨大なパンドラの箱から解放される様は、フランス革命の再来を思わせました。

 

独善的な思想の下で、ビン・ラディンと支持者のみならず、世界のあらゆる悪を征伐する「十字軍」が生まれました。ブッシュは戦時の大統領となりました。そして今こそ世界が覚醒するときだとばかりに、こう宣言します。

「我々の責務は明白だ。世界から悪を一掃する」。

 

世界は概ね、アメリカに深い共感を寄せました。ロシアのプーチン大統領も即座に支援を申し出ています。中東専門のジャーナリスト、クリス・ヘッジスは、数年後に記しました。

「もし我々に、弱い存在であることを認める勇気があったなら、今の脅威は遥かに減っていただろう。だが私たちはテロリストが望む通りの反応をした。暴力に訴えたのだ」。

 

過去半世紀余りの大統領たち、特に第二次大戦末期のトルーマン、ジョンソン、ニクソン、そしてレーガンは弱みを見せることを極端に嫌いました。ジョンソンはベトナムでの失敗を恐れるあまり、偉大な社会の構想を犠牲にしたと吐露しました。これがアメリカ政治のアキレス腱だと言えるでしょう

 

思いやりや共感を見せると、弱腰だと強硬派から攻められます。しかし歴代の偉大な指導者たちは、みな他者を思いやっていました。ワシントン、ジェファーソン、リンカーン、ルーズベルト、マーティン・ルーサー・キング。もし、ブッシュではなく、アル・ゴアが大統領になっていたら、アメリカの政策を憎み、頑なになった人々と気持ちを通わせることができたでしょうか?

 

テロリストに対しては、外交そして諜報機関や警察を使った従来のやり方で、冷静に追跡できなかったでしょうか?過激派の若者たちが、殉教者として崇める新たな敵をつくらずに済んだのでしょうか?ゴアだったら事実上の第三次世界大戦のような状況をつくり出していたのか?ブッシュは宣告しました。

 

「全ての国と地域が決断する時だ。我々側につくかテロリストにつくか」。彼はこれを正義と悪の闘いと呼びました。想像してみてください。世界中どの国の市民であれ、アメリカの味方になるか敵になるか、どちらかを選べといわれたら、アメリカという国をどう思うでしょうか

 

チャルマーズ・ジョンソン(歴史家)は死の前に記しました。「アメリカ人は同時多発テロを機に世界が変わったと言いたがるが、その前にアメリカ自身が第二のローマ帝国になりつつあったのだ。国際法も同盟国の意見も無視して武力に訴える史上最大の巨人に」。

 

国民の大半はなぜ自分たちが攻撃され、なぜアメリカを狙う国が増え続けているのか分かっていませんでした。しかしこのことを理解する人も増えています。アメリカ人以外は、半世紀も前から思い知らされていること、アメリカがその言葉とは裏腹に、世界を支配しようとする怪物のような軍事大国だということです。

 

ブッシュはなぜアルカイダがサウジアラビアの駐留に反対し、パレスチナ紛争でイスラエル支援に回るアメリカに反発するのか説明しようとはしませんでした。そのかわり陳腐な問いかけをします。「なぜ我々を憎む?」そして答えます。「自由が憎いのです。宗教の自由、言論の自由、選挙や議論の自由が」。

 

第41代大統領のブッシュは、パナマとイラクに戦争を仕掛け、怒りの火種を撒きました。そして今度はその息子が、テロとの戦いでアメリカの財政や経済を破綻の危機に追いやりました。彼は父と同じ戦時の大統領となることに、運命を見出したのです。チェイニーが決して終わることがないと言った戦争に。

➽「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」ヒストリーチャンネルより

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