白くまピース: 愛媛県立とべ動物園

■日本で初めて人工哺育に成功

ピースは1999年、愛媛県立とべ動物園で生まれたホッキョクグマ。母グマ「バリーバ」が育児を放棄したため、飼育員の手により人工哺育された。ピースという名前には戦時中、動物園で飼育していた動物が薬殺された悲しい歴史を繰り返さないという願いが込められている。

とべ動物園、しろくまピース

http://www.tobezoo.com/peace/

 

■感染症との戦い

ホッキョクグマは雪洞の中で生まれるため、赤ちゃんは細菌に対する免疫能力が低い。(雪洞は気温が低く、細菌が繁殖しない)そのため飼育環境には細心の注意がはらわれた。飼育員さんは自宅に連れ帰り、おそらく人間の赤ちゃん以上に脆弱なピースに細心の注意と愛情を注いだ。

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左:野生のホッキョクグマ、巣穴から出た直後

右:ミルクを飲むピース

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ピース甘える。ささ鳴きはクマ特有の鳴き声。「グルグルグル」と鳴いて甘える。

■生後105日、体重15kg、動物園デビュー

日本での人工飼育下、生存記録を更新してピースは動物園で公開された。鋭い犬歯も生えそろい、動物園で生活するための準備が始まる。

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動物園での初めての夜、ピースは一晩中、鳴き続け声をからした。

■初めてづくし、試行錯誤

ピースの便に血が混じっていた。ミンチの中の細かい骨がお腹に刺さったらしい。ミンチをさらに包丁で叩いて骨を潰す。血便は出なくなった。

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■困難なホッキョクグマの繁殖

日本の動物園はホッキョクグマの高齢化に悩んでいる。生態がよく分からずに人工保育が困難だからだ。ピースの生存記録は希望の星となった。

■水泳訓練

どんな動物でも最初は水が怖いらしい。へっぴり腰のピース。

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水に慣れさせようと哺乳瓶で誘ってみるが、焦ったピースは飼育員の腕をかじってしまう。

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叱られて凹むピース。でも信頼関係があるので、叱られたことが解かる。信頼関係が無ければ次からは敵としか見ない。

■5才になったピースは体重300kg

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大人になったピースはめったに「ささ鳴き」をして甘えることはなくなった。でも赤ちゃんの頃から世話になった飼育員、高市さんが傍にいる限りはそこを離れようとはしない。現在もピースはとべ動物園で穏やかに暮らしている。

 

STAP細胞って何だ?-その4

 

理化学研究所の説明資料より

STAP現象を前提にしないと容易に説明できないデータがあるが、論文全体の信頼性が過誤や不備により大きく損ねられた以上、STAP現象の真偽の判断には理研内外の予断ない再現検証が必要である

 

STAP現象を前提にしないと説明できない部分

ライブ・セル・イメージング(顕微鏡ムービー)

NikonのHPより: ライブセルイメージングシステム

http://www.nikon-instruments.jp/jpn/page/products/bim.aspx

10以上の視野を同時に観察できる。自動的に撮影し、人為的なデーター操作は実質上不可能

 

(人為的なデーター操作は不可能とした上で)

Oct4-GFPを発現しない分散したリンパ球からOct4-GFPを発現するSTAP細胞特有の細胞塊が形成」ー*Oct4-*GFPを発現しない脾臓の血球系細胞からOct4-GFPを発現する「他の細胞では知られていない形質を持った*小型細胞の塊が生ずる。

 

*Oct4 ー細胞の初期状態を維持するために必要なたんぱく質。多能性細胞の指標。

*GFP(Green Fluorescent Protein) -緑色蛍光たんぱく質。オワンクラゲから抽出・精製される発光たんぱく質。オワンクラゲがもつイオクリンはクラゲの発光細胞内でカルシウムの濃度を感知して発光する。

(サイエンスZEROでは、Oct4が細胞内に現れると細胞が緑色に発光するマウスから血液細胞を取り出して実験に使用したと説明していました)

*小型細胞の塊 -リンパ球やES細胞よりSTAP細胞はさらに小型サイズの特殊な細胞(説明資料2より)(資料に貼付された写真ではSTAP細胞とされる細胞は*ES細胞の半分以下)

*ES細胞 -受精卵が胚盤胞と呼ばれる段階にまで発生したところで取り出して、フィーダー細胞 (feeder cell) という下敷きとなる細胞と一緒に培養をすると、内部細胞塊が増殖を始める。この内部細胞塊は、胎盤などの胚体外組織以外の、全ての身体の組織に分化してゆく細胞集団である。(Wikipediaより)

 

遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細胞とも一致せず。ES細胞は、増殖能は高く、分散培養可能; 一方、STAP細胞は増殖能が低く、分散培養不可

(サイエンスZEROでは、『STAP細胞はSTAP細胞を注入したマウスの生体内では増えたが分散培養(細胞を一個一個ばらばらにして培養する方法)では増えなかった』と解説)

STAP細胞って何だ?-その3

■NHK、サイエンスZERO「緊急スペシャル!STAP細胞、徹底解説」(2014年3月16日放送)より

 

STAP細胞を考える上で重要な点は一度分化した細胞が酸などの刺激により初期化するということ。その初期化の証拠、指標となるものがTCR再構成である

TCR再構成の考察

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TCR再構成はリンパ球の一種であるT細胞にだけ起こる。病原体と戦うリンパ球の一種であるT細胞は病原体に対抗するための「武器」を体の表面に持っている。そして様々な病原体に合わせて武器を変化させる性質がある。

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病原体に合わせて遺伝子を変化させる。遺伝子の一部が切り取られて遺伝子の配列が変わる。これがT細胞だけにおこるTCR再構成である。

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一つの受精卵からできる全身の細胞は同じDNAを持っている。しかしT細胞になった細胞はDNAが変化する。TCR再構成はT細胞に分化した証し

STAP幹細胞にはTCR再構成はなかった

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成長したマウスの血液細胞(=分化した細胞)にはT細胞も含まれている。そして酸につけて初期化したSTAP細胞の一部にはTCR再構成が見られた。これは一度T細胞に分化した細胞が*初期化した証拠となる

*初期化-例えば皮膚になる細胞は皮膚以外の遺伝子情報にフタがされて他の細胞に分化することはない。初期化とはこのフタが外されて分化以前の状態に戻ること。STAP細胞の中に配列の異なる遺伝子が存在する(TCR再構成)ことは、一度、T細胞に分化したのちに初期化したことの証明になる。

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しかし医療分野などで使用する事を想定して作られたSTAP幹細胞(特殊な培養液を用いて増殖能力を得たSTAP細胞)ではTCR再構成は見られなかった。研究チームは「TCR再構成を経た遺伝子を持つ細胞は生存が不利になるためSTAP幹細胞に移行する過程で死滅した」と説明している。

-その4に続く。

STAP細胞って何だ?-その2

■NHK、サイエンスZERO「緊急スペシャル!STAP細胞、徹底解説」(2014年3月16日放送)より

 

しかしながらネイチャー誌に掲載された論文には幾つかの不備があり、現在論文は棚上げ状態。「在るとも無いとも言えない仮説の段階」にある。理化学研究所は改めて再現実験に着手することを表明、結果が待たれている。

 

STAP細胞の存在をどのように説明したか

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Oct4(オクトフォー)たんぱく質は細胞の初期化状態を維持するために必要なたんぱく質。Oct4は多能性細胞存在の目印となる。

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もし酸につけた細胞が初期化されればOct4が現れるはずである。

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そこでOct4が細胞内に現れると細胞が緑色に発色するマウスを用意。マウスから血液細胞を取り出して酸につけた

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その細胞を培養すると、2日目に一部の細胞が緑に光り始めた。研究チームはこれをOct4の出現=初期化が起きたと考えた

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この細胞は本当に多能性細胞なのか?ということを確認するためにSTAP細胞をマウスの皮膚に注入。やがてSTAP細胞が増殖して腫瘍が出来た。

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この腫瘍を調べると、皮膚、筋肉、腸などSTAP細胞から分化したとみられる様々な組織の細胞が見つかった。Oct4の出現と様々な細胞への分化から研究チームは多能性細胞が出現したと結論した。

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この細胞を「ある種のホルモン」を加えることにより試験管内で増殖させることに成功。この増殖能力を得たSTAP細胞をSTAP幹細胞と名付けた。

-その3へ続く

STAP細胞って何だ?-その1

■NHK、サイエンスZERO「緊急スペシャル!STAP細胞、徹底解説」(2014年3月16日放送)より

 

■植物では普通に見られる細胞の初期化

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シクラメンの茎を切り取る。(物理的刺激)すると茎の断面に初期化された細胞(カルス)が現れる。カルスを培養すると植物全体の細胞に分化する。STAP細胞は動物の細胞を、酸などの物理的刺激によって初期化して万能細胞を造り出す技術。

 

■細胞の初期化とは?

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動物の体は一つの受精卵が分裂しながら筋肉や皮膚、血液等の役割の異なる細胞に分かれてゆく。これを細胞の分化という。

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本来、細胞は体のどの部分にもなれる遺伝情報を持っている。しかし、例えば皮膚になる細胞はその他の遺伝子情報にフタがされていて他の細胞になることはない。初期化とはこのふたを外して受精卵のような状態を作り出すことである。そして、この細胞は多能性細胞(一般には万能細胞)と呼ばれる。

 

既に実用化に向けて動き出している多能性細胞、iPS細胞は当初、分化した細胞にいくつかの遺伝子を組み込むことで初期化に成功した。STAP細胞は弱い酸などのストレスを細胞に与えることにより、初期化を引き起こすというもので、iPS細胞よりも、ある意味簡単に多能性細胞が作られるという期待と、動物の細胞は通常では初期化しないという生物学の常識を覆す発見として、驚きをもって迎えられていた。

-その2に続く

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