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「生と死」の理解

制作:イギリス・Wall to Wall「子どもの心はこう育つ」LaLaTvより

生きているものとそうでないものの区別

1歳半のハンナにはまだその区別がつかない。しかし、おぼろげながらも次のようなことは理解している。

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おもちゃの鳥を飛び跳ねるように動かしている➯ 鳥が不規則で自由に動くのを理解している。それに対しおもちゃの飛行機は直線的に動かしている➯ 飛行機が規則的で直線的に動くのを理解している。飛行機と鳥は形は似ているが動きが違うアンナはすでに生物と機械の基本的な違いを見分けている

 

3歳ぐらいになると「生きている生きていない」という言葉の意味は理解できるようになる。金魚・鉢植え・アイボ・幼虫・カメラ・ネズミ・人形を生きているものは右、そうでないものは左に並べるゲームをする。

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初めにイワンが幼虫を選んだ。理由は「動く」から。次に選んだのはアイボだった。やはり「動く」からだが、まだ彼らにははっきりした基準がないようだ。結局、全部右に仕分けてしまった。このなかに、生きていないものはないの?と尋ねると「ない!」と答えた。

 

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4歳のガブリエルは、初めにネズミを選び、次に人形は人間➯人間は生きているという連想で人形を生きている側に分類した。5歳のレオンは、鉢植えは動かないという理由から、鉢植えを生きていないものとして捉えていた。

 

生命のサイクルを理解するには、過去・現在・未来という時間の流れを把握する必要がある。3歳のアリスにはまだ過去を記憶する能力と、未来を予測する能力が完全ではない。アリスの頭の中にあるのは今だけ。アリスにとって「10分後」という言葉に何の意味もない。アリスにとって「まだ起きていないこと」は「全て後」つまり、今やるべきことではない。「遅れる」という言葉自体が頭にないのだ。

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アリスは時計やカレンダーからではなく、毎日同じ時間に保育園へ行き、それから遊んでお昼、それから食事をしてお昼寝という、繰り返しの体験によって時間を理解するようになる

 

子どもにとって「時間」の理解が難しいのは、抽象的な概念であるばかりでなく、分や秒などの細かい決まりがあるからである。

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大きさの違う二つのチョコレートを並べ<どちらか一方しか選べないが、小さい方はすぐに食べられる。しかし、大きい方は10分待たなければならない>というと、4歳までの子どもは小さい方を選ぶ。一般に4歳ぐらいまでは時間の概念が未発達で、10分と10年の違いを感じることができない。4歳児には<今>しかないので、すぐに食べるという選択以外は考えられない。5歳ぐらいになると大きい方を選ぶようになるが、これは10分後に大きいチョコを食べている自分を予想することができるから。10分がどれくらいの長さなのかということは、時計が読めるようになる6~7歳にならなければ分からないが、経験から大して長い時間ではないということを知っているのだ。

 

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楽しい時間はあっという間に過ぎるが、待っている時間は永遠にも感じられる。時間を把握できるようになると、子どもたちは待つということが苦ではなくなる。そして、始まりがあれば終わりがあるということを理解するようになる。

「時間」という境界の発見

制作:イギリス・Wall to Wall「子どもの心はこう育つ」LaLaTvより

 

生と死を理解するには、人間の身体は常に変化するということを理解する必要がある。

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3歳のセシーラは赤ちゃんのころの自分を見ているが、弟のハリーのビデオだと思っている。生き物が成長することをセシーラはまだ知らない。赤ちゃんの頃の自分と今の自分が同じであるということを受け入れることが難しいのである。頭の中には今の自分しかないので、前は赤ちゃんだったといわれると、セシーラのプライドが傷つくのだ。

 

子どもは4歳から5歳になっても、まだ人生のサイクルを理解することは出来ない。しかし、このころになると、ある疑問が湧いてくる。赤ちゃんはどこから来るのか?という疑問である。

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子どもたちは一見よく知っているように見えるが、実際には赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、長い時間をかけて成長することまでは理解していない。6歳から8歳ぐらいになると、自分がかつて赤ちゃんで、思春期を迎え、やがて母親になるということを理解するようになる。

 

もう一つ大きな疑問がある。人は死ぬとどうなるのか?ということである。4歳ぐらいの子どもは、死が人生の終わりだということを理解していない。死は眠っているような状態、あるいは動かない状態というぐらいの認識しかない。動物と物の違いはわかっても、それだけでは死を理解するのに充分ではない。存在という概念を理解するのは難しいが、存在しないという概念を理解するのはさらに難しいのである

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一般的に8歳ぐらいになると理解が進み、命の大切さ、はかなさなどにも考えが及ぶようになる。9歳ぐらいになれば、死に対する理解はもっと進み、一人の人間が死んでも、人類の存在は続いてゆくということが分かるようになる。タイムカプセルをつくる行為などはそのよい例である。


メランコリィの発見

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坂口 尚「たつまきを売る老人(おとこ)」奇想天外コミックスより

嘘がつけるとき

制作:イギリス・Wall to Wall「子どもの心はこう育つ」LaLaTvより

 

嘘は悪いことばかりではない。赤ちゃんにとっては大切なコミュニケーションの手段でもある。嘘をつく能力は住まれながらのものではなく、成長に従い徐々に発達する。生後6週間のアダムは鳴き声を上げれば母親が応じてくれるということを知っている。

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最近では泣き方を変化させることを覚え、まず少し泣いてから泣き止み、母親の反応をうかがう。反応がなければもう少し大きな声で泣き、これをくり返す。もっとも赤ちゃんは、泣くことだけで精一杯である。

 

言葉には力がある。2歳のルイは最近、おねだりするときにぴったりの言葉を見つけた。魔法のような力を持つ言葉「お願い」である。ルイは「お願い」という言葉の持つ力を、父親との会話で学んだ。

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泣き叫ばないでお願いしていれば、願いが叶うことが分かった。子供は言葉を覚えながら成長する。

 

エバは2歳半、宿題が終わるまで、お姉さんの邪魔をしてはいけないといわれたが、構ってもらいたいエバは「ヤケドした」といってみた。以前火傷をしたときに、みんなが心配し、氷で冷やしてくれたことを覚えていたからだ。

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このやり方で、構ってもらうことに成功したが、三度目はなかった。嘘を信じさせるためには、説得力のある話をつくり出す必要がある。しかし、2歳のエバにはそのための想像力がまだ備わっていない。

 

3歳くらいになると、想像力は発達してくるが信憑性がいまいち。

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嘘に信憑性を持たせるには、相手が何を考えているか推測する能力が必要。一般的に3歳から6歳ぐらいまでに、この能力は完成する。しかし、その時期が来るまで子どもは「自分が知らないことは相手も知らない」と思っている。そのため、まだ人をだますことは出来ない。

 

3歳のイワンはチョコレートが大好物。お母さんは「お客さんが来たから、食べないで待っててね」と言い残して部屋を出た。しかし、イワンは待ちきれずに、指でこそげて食べてしまう。

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言い訳其の1「食べてない」と否定するが、こそげ跡があったので却下。言い訳其の2「アレックスがやった」と弟のせいにするが、アレックスは学校に行っているので、でっちあげ失敗。

 

イワンは自分の知らないアレックスの居所を、まさか母親が知っているとは思わなかった。3歳の子どもは相手の考えを推し量ることができないので、まだ人をだますことができない。

無邪気だが単純ではないこと

制作:イギリス・Wall to Wall「子どもの心はこう育つ」LaLaTvより

 

ボタンをどちらかの手に隠し、当てっこするゲームをする。3歳のロレンゾは、まだ相手の考えを推し量ることができない。「自分が知っていること(ボタンがどちらにあるか)は、相手も知っている」と誤解しているので、ゲームが成立しない。

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同じく3歳のアリスも、ゲームのやり方は分かっているが、騙す騙されるという仕組みが、理解できていない。なので、隠していないほうの手が開いてしまっている。➯ 嘘がつけない。

4歳のエミーは、どちらの手にあるか相手は知らないということを理解しているので、ゲームが成立する。➯ 嘘がつける。

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上手に嘘をつくためには、言葉だけでなく演技も必要。

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5歳のアレックスの考えていることは、態度に現れてしまう。

 

さらに、嘘をつく能力は、いつどこで使うかが一層重要。5歳のエミリーは、納得できないことを許せないお年頃。日ごろから「嘘をついてはいけない」としつけられているエミリーの判断に、グレーの領域はない。まだ「ときには嘘も必要」ということが理解できない。

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おばあさんからのプレゼントが「ピーターからのと同じだ」と鋭く指摘。お母さんが、いろいろとりなしても「後で調べる」「お母さんは嫌いだと言った」などと状況をこじらせるようなことばかり言う。

 

ダニエルは8歳、妹のアマンダは6歳。母親の新しい服を評価する。推測力、パフォーマンス、状況を見極める力が試される。

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ダニエルもアマンダも、新しい服をほめるので、母親は上機嫌。しかし、母親が出かけた後「あまりいい趣味ではない」と思ったことをお互いに告白。

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にもかかわらず二人は「本当のことは言わないほうがいい。気を悪くするから」という気遣いを示す。嘘は人を騙し傷つける面だけではなく、人を励まし元気づける面もあるということを、ダニエルとアマンダはよく分かっている。

 

他人を欺かず、他人からも欺かれないこと。無邪気ではあるが、単純ではないこと。➡ エーリッヒ・フロム

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内村鑑三の言葉
日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
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武者小路実篤の言葉
何のためにあなたたちは、生きているのですか。国のためですか、家のためですか。親のためですか、夫のためですか、子のためですか。自己のためですか、愛するもののためですか。愛するものを、持っておいでですか。
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佐藤蓼丸

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