無邪気だが単純ではないこと
制作:イギリス・Wall to Wall「子どもの心はこう育つ」LaLaTvより
ボタンをどちらかの手に隠し、当てっこするゲームをする。3歳のロレンゾは、まだ相手の考えを推し量ることができない。「自分が知っていること(ボタンがどちらにあるか)は、相手も知っている」と誤解しているので、ゲームが成立しない。
同じく3歳のアリスも、ゲームのやり方は分かっているが、騙す騙されるという仕組みが、理解できていない。なので、隠していないほうの手が開いてしまっている。➯ 嘘がつけない。
4歳のエミーは、どちらの手にあるか相手は知らないということを理解しているので、ゲームが成立する。➯ 嘘がつける。
上手に嘘をつくためには、言葉だけでなく演技も必要。
5歳のアレックスの考えていることは、態度に現れてしまう。
さらに、嘘をつく能力は、いつどこで使うかが一層重要。5歳のエミリーは、納得できないことを許せないお年頃。日ごろから「嘘をついてはいけない」としつけられているエミリーの判断に、グレーの領域はない。まだ「ときには嘘も必要」ということが理解できない。
おばあさんからのプレゼントが「ピーターからのと同じだ」と鋭く指摘。お母さんが、いろいろとりなしても「後で調べる」「お母さんは嫌いだと言った」などと状況をこじらせるようなことばかり言う。
ダニエルは8歳、妹のアマンダは6歳。母親の新しい服を評価する。推測力、パフォーマンス、状況を見極める力が試される。
ダニエルもアマンダも、新しい服をほめるので、母親は上機嫌。しかし、母親が出かけた後「あまりいい趣味ではない」と思ったことをお互いに告白。
にもかかわらず二人は「本当のことは言わないほうがいい。気を悪くするから」という気遣いを示す。嘘は人を騙し傷つける面だけではなく、人を励まし元気づける面もあるということを、ダニエルとアマンダはよく分かっている。
他人を欺かず、他人からも欺かれないこと。無邪気ではあるが、単純ではないこと。➡ エーリッヒ・フロム