権力を愛する人
ドン・リチャード・リソ「性格のタイプ」春秋社より
■タイプ8の概要
正しく認識されていないのは、権力の目的がどの範囲まで権力そのものの行使であるか、ということである。あらゆる社会において、権力行使は深く享受されている。讃美する群衆、喝采を受けた演説、晩餐会や宴会の席次、会社所有のジェット機の使用権、軍隊敬礼が、権力の所有をほめたたえる。
人間存在の他のどんな局面においても、虚栄心がこれほど危険な状態にあることはない。ウィリアム・ハズリットの言葉を借りれば、「権力を愛することは自分自身を愛することである」。したがって、権力は、それが個人的な利益、価値、社会的な認知に貢献するためだけに追求されるのではなく、その所有と行使に備わっている感情的、物質的報酬のために、権力そのものとして追及される。⇨ ガルブレイス「権力の構造」
リ-ダーシップ、権威、意志、勇気、自力本願、破壊性などの考察なしに、権力を説明することは難しい。何が人に権威を与え、有能な指導者とするのか?私たちの同意する権力行為は健全で、同意できない人のする権力行為は不健全というのは、適切なことだろうか?
タイプ8は、権力の複雑さを実証する性格のタイプである。性格のタイプ8の中に、私たちは勇気、意志、自力本願、リーダーシップ、権威、自己主張、そして権力の暗黒面ー権力が創造したものを破壊する能力を目にする。
ジョーゼフ・キャンベル+ビル・モイヤーズ「神話の力」早川書房より
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モイヤーズ:指導者とは必然を見極めたあと、その矢面に立つ者のことだと言われます。ナポレオンは指導者だったが、人類のために壮大なことを成し遂げるのが英雄だというなら、彼は英雄ではなかった。
キャンベル:だったら、彼はフランスの英雄じゃないでしょうか。これは今日の問題なんです。今日、地球全体が関心の場となっているというときに、我々が必要としてるのは、ある特定の国や国民の英雄だろうか?ナポレオンは19世紀におけるヒットラー的な人物です。
モイヤーズ:とすると、一地方の神でありながら、より大きな宇宙レベルでのテストには不合格、ということがありうるのですね。
キャンベル:そうです。あるいは、一地方の神であっても、その神に征服された人々からすれば敵だ、ということがある。だれかを神と呼ぶか怪物と呼ぶかは、もっぱら意識の焦点がどこにあるかによって決まるのです。