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大国追随の売値は?

何清漣★一帯一路の「債務の罠」 — 大国追随の売値は? 2019年4月29日 より

 

2017年の「一帯一路」サミットの後、一度は中国を見限ったはずの沿線諸国家が、第2回の一帯一路サミットを一緒になって盛り上げています。その中には、米国やIMFに、「中国の投資は落とし穴だった」と泣きついていたマレーシアやミャンマーの姿もあります。

 

2017年5月に開かれた第一回サミットに比べて、今回にはいくつか目を引くポイントがあります。まず、各国が中国に対する期待値を下げたことです。どの国も皆、中国の資金量に希望を持ってはいますが、2017年当時よりはるかに現実的になりました。2017年当時、中国では外貨備蓄が急激に減少し、中央銀行トップが金融雑誌に、

 

「一帯一路投融資協力は、一方的なものではなく、共同作業で共にお金を出し合い危険を分担しあって利益を享受する共同体で、市場融資を中心として、積極的に人民元を活用し、自国備蓄や国際資本を活用する」と書きました。

 

あからさまに言ってしまえば、中国は今後、共同出資にはドルではなく、人民元を出すということで、ドルをあてにしていた各国は大いに失望。一部の一帯一路沿線国家が、中国プロジェクトの停止を訴え、国際通過基金(IMF)に、中国からの債務が積み上がって大変で、助けてくれと訴えたのでした。

 

しかし、この経験から、今回参加の国々は、サミットに以前のような高望みはせず、「成果があるかないかはとにかく、参加してみないと分からないじゃないか」ということになり、例えばイタリアの姿勢がこの典型で、とにかく中国にお金があるのならばそれでいい、ということでした。

 

次に、今回参加した中には新たな重要メンバーがいました。イタリアとスイスという欧州国家です。イタリアはG7メンバー国で初めて、「一帯一路」計画に参加しました。その意義は言うまでもありませんが、スイスはもっと重要です。スイスの金融業は、国際的に最も名声を得ており、中国にとっては、このスイスの独特の”中立国”としての地位が、「一帯一路」に対して極めて重要な価値を持つからです。

 

第三には、中国政府は、経済協力の上で非常に巧みに立ち回りました。国際ルールに合わせるとしたのです。この態度表明は、各国に大変好意的な印象を与えました。2013年の「一帯一路」の総額は3.67兆ドルで、アジア、欧州、アフリカ、太平洋、南米の数十カ国をまたぐというものでした。当時、中国は膨張主義的で、中国モデルを世界に広め、世界の新たなリーダーになるのだという言い方をしたために、一部の国家は警戒していました。

 

米国は貿易戦争期間中、中国の紅色浸透に対して批判し、一部の国家は動揺しました。ですから、今回のサミットでは、北京のプロパガンダはダウンし、焦点は各国の疑惑の解消、例えば、世界銀行と共同で、「一帯一路」の環境と社会基準を研究するとか、「債務に耐えうる枠組みを分析し、その危険を解消する」としました。しかしこれは「一帯一路」の透明度と、イデオロギーの輸出という疑惑に対しての言い訳です

 

発表文書の草案には、このサミットに参加した37カ国の全世界の指導者は、融資プロジェクト問題で意見が一致し、グローバル債務の目標を遵守し、環境に配慮した開発を行うとしています。

「たかり」の構造



何清漣★一帯一路の「債務の罠」 — 大国追随の売値は? 2019年4月29日 より

中小国家が、超大国にたかる習慣はいつ始まったか

2018年10月以来、マレーシアなど数カ国が、中国が自分たちを「債務地獄」に陥れたと言い出し、米国はこれに対して高飛車に非難、2018年10月3日に、米国上院は賛成93票、反対6票で、「投資促進発展法案」を通過させました。

 

この法案は、元々あった米国海外投資会社発展援助機関を統合した、国際発展金融会社で、600億ドルの資金で、発展途上国のエネルギー、港湾、水利などのインフラプロジェクトを資金援助するものでした。

 

しかし、こうした国家資源を活用する話は、民主国家では制限が多く、中国のような専制独裁国家の、自国の民主を犠牲にした上での効率には敵いません。ですから、米国の投資計画がもたもたしているうちに、中国は資金を拠出できるのです。

 

世界各国は、今、どの国も国内の失業が深刻で、例えばイタリアで、2018年末の青年の失業率は、30.8%もあります。2019年1月のギリシャの若者の失業率は39.7%です。ですから、各国国民(指導者から見た”票”)にとって関心は、仕事によって専制のくびきから脱することではなくて、就職先の有無なのです

 

ですから、欧州連合の反対にもかかわらず、イタリアは中国と一方的な協力を選択したのでした。「自分の家の前で中国がジェノバ近郊ヴァド港の建設を行うことは、将来のことを考えると嬉しくはないが、新たな就職先が出来るのはいいことだ」という現実的な考えからなのです。

 

人口八千人のヴァドの町に400の就職先が出来るというのは、現地にとっては喜ばしいニュースで、ヴァド市長は「力のある投資パートナーが新たなチャンスと資金をもたらし、一連の条約、協定、法の規制の下で、中国資本が、債務問題や労働者の利益を犯すといった心配は全くない」「中国人は問題ではない。彼らがお金を持ってくるなら、我らは大歓迎だ」と言っています。クロアチアやナイジェリアも同様で、「お金」が中国が一帯一路国家との関係をむすぶ最も強力な「紐帯」なのです

 

2年前、スリランカが中国のハンバントタ港建設援助費用を返還できず、港を丸ごと中国に99年間貸し出すことになりました。これが「一帯一路」の債務危険性であり、債務の罠の典型事例だと批判されました。しかし、見た所、各国は、借金は返さなければならないのだという市場の鉄則をもうお忘れのようです。よくよく考えると、こうした考え方が生まれたのには、原因があります

大国依存という病

何清漣★一帯一路の「債務の罠」 — 大国追随の売値は? 2019年4月29日 より

 

西側のメディアはずっとイデオロギーを優先させ、経済の重要性、とりわけ米国の世界経済における中心的役割を、いささか軽視するきらいがありました。しかし、米国民主党が、2018年中間選挙で勝利を得てから、社会主義政策が民主党の選挙戦で極端に好まれるようになり、米国有権者の主体が関心のあるテーマからどんどん外れていくようになります。

 

西側メディアは焦り、1992年のクリントン大統領が父親のブッシュを破った時の名言、「根本的な問題は経済なのだよ!」という言葉をよく引用するようになりました。この言葉で全世界の左派論客に、経済をなんとかすることだけが勝利への道なのだ、と気が付かせようとしています

 

実際、この心理は全世界の国々の政治ばかりか、今回、各国が争って中国の「一帯一路」の「債務の罠」に飛び込んでいることへの説明にもなります。なぜなら、中国のお金を得ることだけが、自分たちが自国経済をなんとかして、選挙民の支持を勝ち得る元手になるからなのです

 

本来、経済発展は各国自分たちの事情によるものでした。しかし、第二次世界大戦以後、世界はある種の大国追随の方法に慣れきって来ました。主義主張ということではなく、各国、特にイデオロギー的色彩が薄い国々は、どちらかの勢力の端っこに立つことで、両方の大国から経済援助を得られました。多くの中小の国家は経済発展をさせる方法を持ちませんでした。しかし米ソ間の覇権争いというゲームをシーソーのように利用して、より多くくれる側についたのです

 

米国は第二次世界大戦以後、国際秩序という「世界の公共品」を担って来て、それを自分たちの「ソフトパワー」の体現だと思っており、各国もまた当然のように、それは米国の責任だと考え、別に感謝もしませんでした。中国は、金銭の力をはっきり知っており、国連の中で、合従連衡を画策し、人権に関しては、お金で発展途上国に重要な影響力を行使して来ました

 

冷戦モデルの置き土産 中国の目標と米の干渉

中国政府の統計では、2019年3月末までにすでに125の国家がそれぞれ異なる協力協定にサインしています。これらの国家は全世界のGDPの36%を占め、世界の総人口の6割になります。こうまで費用と手間をかけるのは、本当にビジネスチャンスを得るだけが目的でしょうか?当然、違います

 

今回のサミットの間、中国は他国の疑惑を解消するために少なからぬ努力をし、各国も中国側の説明を受け入れ、中国が運輸とインフラ設備を通じて、欧州とアジア大陸の距離を縮め、貿易を進行させて、人類の連携と沿線国家の国民に有利なようにするということです。でも、これはだからと言って、こうした国々が「一帯一路」の地政学的上の戦略的意義を理解していないということではありません。

 

一帯一路」の目的は、中国を中心とする世界の建設であり、各国を中国と協力させる中で、高度に北京に依存させるためです。中国は「一帯一路計画」を通じて、ルールを制定する権限を勝ち取り、世界の構造を塗り替えるようとしているのです

 

各国も、米国がとっくに、中国の「一帯一路」に対して不満であることは承知しています。米国の戦略家たちは、中国が「一帯一路」を建設を通じてあたえる影響を軽視出来ないとみています。それはアジアと欧州大陸の地政学的なバランスを変えてしまう潜在的な力であり、技術の標準、軍事的安全、国際発展などの多領域にわたって米国が作っている構造に対する挑戦であり、米国が第二次世界大戦後に作り上げた全世界的な覇権の基礎を破壊しかねないと見ています。

 

ですから、米国は決して中国のこの分野での強力な挑戦を容認しないでしょう。しかし、二つの超大国間の覇権争いは、必然的に世界の多くの国家に、自分たちをどちらか一方に、高く売りつけるチャンスをもたらします

 

争って中国の「債務の罠」に飛び込む各国というのは、ただアジア諸国が冷戦後に形成してきた「経済利益は中国から、政治的安全は米国頼り」がちょっと変わって、再び冷戦時代の「シーソー」に戻っただけです。2018年10月の、マレーシアなどの国々が、IMFや米国に、自分たちは中国の罠に陥ったと訴えたようなことが、また必ず起こるでしょう。なぜなら、そうした泣き言もまた一種の、自分たちを高く売りつけるやり方のひとつなのですから。

需要と供給がすべて

 

図1ハサミ理論

■ ラビ・バトラ「JAPAN繁栄への回帰」総合法令 より

 

経済とは、需要と供給がすべてである。ほとんどすべての問題は、この二つの力を通して検討できる。需要と供給は、一対のハサミの刃の動きで示すことができる。AからBへの動きが供給を表し、MからNの動きが需要を表し、ポイントEが均衡地点で、需要と供給が均衡する唯一のポイントである。実際にどのような経済の病の重さも、その均衡点から、どれだけ逸脱しているかで診ることができる

 

ほとんどすべての市場は、このハサミの図表を使って分析できる。通常、この二つの座標軸(AーBとM-N)が価格と量を表す。しかしその価格と量の意味、何の数値と数量なのかは、どの市場かによって異なる。

 

おびただしい数の製品とサービス市場の場合、縦軸は製品やサービスの価格を表し、横軸は需要と供給の量を表している。労働市場においては縦軸は賃金を表し、横軸は労働力の需要と供給を表す。株式市場だと縦軸は株価で、横軸は発行株式数を表す。不動産市場ならば縦軸は不動産価格であり、横軸は不動産の規模を表す。

 

国全体の経済を調べる場合、需要と供給の意味が少し異なってくる。この場合、需要と供給は実際の量ではなく、物価の変動に合わせて調整された実質的な通貨価値を表すことになる

 

国全体の需要とは、物価の変動に合わせて価格調整をした資金が、年間を通してどれだけサービスや製品に費やされたかの総額を表すことになる

 

国全体の供給とは、物価の変動に合わせて価格調整をした製品とサービスの総生産額を表す。つまり国全体の供給とは、GDPの実質的な値を示すのである

 

そこで国全体の市場では、縦軸が最終消費財(綿花や鉄や銅やアルミニウムなどの原材料以外の製品)である。このハサミの図表の仕組みを追えば、経済学者の考え方や方向付けの理論を判断できる

 

このハサミの二つの刃は、個人の持つ期待感や政府の経済政策に呼応して頻繁に上下していく。こうして生産価格・賃金・金利が変動していくのである

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内村鑑三の言葉
日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
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佐藤蓼丸

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