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日本人の道徳と共同体

 

★現代ビジネス/2019年5月16日:なぜ多くの日本人が「原発問題」について思考停止に陥ってしまうのか(堀有伸・精神科医) より

精神科医の仕事をしていると、先に述べたような抑うつ的な不安、つまり重要な存在を失ったことによる悲しみや怒り、罪悪感を受け止めてくれる場が失われていることを痛感します。つまり、そういう心情を吐露しようとしても、多くの場合に無視される訳です。情緒的な一体感に水を差すものは忌避されます

 

それとは逆に、明るく前向きな姿勢を示すことが好まれ、注目を集めます。これが、「日本的ナルシシズム」が存続し、次第に強化されていくメカニズムです。「明るく華やかで前向きに」している限りでは人が集まってきますが、ちょっとでも弱みを見せれば、孤立しかねなません。

 

なぜ日本人にとっての自我の確立は難しく、周囲との融合的なかかわり方ばかりが維持・継続されてしまうのでしょうか。それは日本社会に生きる上で、近しい人々とのズルズルベッタリした関係を断ち切って自己主張をすることは理解されがたく、それとは反対に、融合的なかかわりに留まることで周囲からの報酬を何らかの形で与えられる可能性が高かったからだと考えます。

 

前者は激しく価値下げされますが、後者は理想化されます

 

■「他の人から注目される行為は、増えていく」逆に「他の人から無視される行為は減っていく」という原則⇨ 現在の日本人は全体として、「自己主張を行う人間は無視し、報酬を与えないように気をつける」「自分を抑えて空気を読んで黙々と行動する人間を丁重に扱う」という道徳を共有し、それをお互いに強化するような共同体になっているのではないか、と考えるようになりました。(「問題行動をくり返す人の治療に役立つ『シンプルな方法』」という小論)

 

★現代ビジネス/2018年2月27日:自分に不都合な現実をみとめない人々(堀有伸・精神科医) より

筆者が「日本的ナルシシズム」という言葉を強調するようになったきっかけがある。

 

それは、うつ病などの症状が出現しているのにもかかわらず、決して自分の心身の異常という現実をみとめようとせず、逆にそれを指摘する筆者のことを、激しく軽蔑して攻撃するような姿勢をみせた患者や会社にくり返し出会ったことだ。結果としてうつ病が慢性化して難治化することがあり、時には自殺などの事故の可能性を高めてしまう。

 

そのようなパーソナリティーの成立には、東京電力のような日本型企業における、1940年体制のシステムで価値が高いとされた健康や献身・忠実などの価値観への過剰な同一化と、そうでない弱さ・不健康といった人間的な側面についての否認と憎悪が大きな影響を与えている。

 

その価値観を奉じる企業に同一化しなければ、その組織内で生き残ることができないのだとしたら、それに適応せざるを得ないだろう。そして、それに過剰適応した者が、有利な結果を得やすい日本社会の状況が、数十年間持続していた結果として、2011年の原子力発電所事故が発生したと考えている。

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地球ネコ
内村鑑三の言葉
日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
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武者小路実篤の言葉
何のためにあなたたちは、生きているのですか。国のためですか、家のためですか。親のためですか、夫のためですか、子のためですか。自己のためですか、愛するもののためですか。愛するものを、持っておいでですか。
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佐藤蓼丸

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