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戦争の深淵


エーリッヒ・フロム「悪について」紀伊國屋書店より

傷つけられたナルシシズムのため生じた憤怒に、代わりうるものがあるとすれば、それは抑うつである。彼は外界に関与せず、関心も示さない。彼は何者でもなくなる。というのは、彼は外界と関与を持つための自我を発達させてこなかったからである。彼のナルシシズムが酷く傷つけられ、維持できなくなれば、自我は崩壊し、この崩壊の主観的反射が抑うつの感情になる。


しかしながら他人には一層危険だが、その人自身にはより満足のいく、脅威の解決法がもうひとつある。その方法は、現実をある程度まで自分のナルシスティックな自己像と一致するように歪めることである。一例としては、<永久運動機関>を発明したと信じる、ナルシスティックな発明家であり、より重要な解決策は誰か他人の同意を得ることである


そしてできれば、何百万という人の同意を得ることである。前者は<二者の愚行>であるが、後者は何百万もの人の喝采と賛同を得て、自己に潜在する精神的な病の発生を防ごうとする公人である。最もよく知られているのはヒトラーであり、何百万という人に、自分の演出した姿を信じ込ませ、「第三帝国」についての幻想をもたせるなどして、現実を変形させることに成功していなかったら、彼は恐らく精神病と診断されていただろう重症のナルシストだった。


カリギュラ、ネロからスターリン、ヒトラーに至るまで、彼らが自分たちの信者を発見し、現実を自己のナルシシズムに適合するように変貌し、一切の批判を破壊することに必死になったのは、まさにそれが狂気になるのを防ぐためだったが、逆説的にはこういう指導者の狂気の要素が、彼らを成功させることにもなっている


悪性型のナルシシズムの場合、その対象となるものは、その人の行為や制作したものではなく、彼が<所有するもの>である。もし私の肉体・容貌・健康・富のために私が偉大なのであれば、誰に対しても何に対しても関係を持つ必要がなくなり、何の努力もいらなくなる


自分の偉大な姿を維持しようとするほど、彼は現実から離れ、膨れ上がる自我が幻想の産物であることが暴露されないように、さらにナルシシズムを充実させる羽目に陥る。悪性のナルシシズムは自己制限を無視し、世間嫌いになり、唯我独尊に陥る。何も成就したことのない人は、他人の仕事を評価するのが難しく、そのため、ナルシスティックな栄光の中へと孤立せざるを得なくなる

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内村鑑三の言葉
日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
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何のためにあなたたちは、生きているのですか。国のためですか、家のためですか。親のためですか、夫のためですか、子のためですか。自己のためですか、愛するもののためですか。愛するものを、持っておいでですか。
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佐藤蓼丸

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