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自己破壊的同調の内面化

A・W・シェフ「嗜癖する社会」誠信書房_より

嗜癖はそれ自体適応の一様式であり、個体が環境に過剰適応して、自己破壊的になって行くという現象である。私たちが生きているシステムは、私たちに自己破壊的同調を強いている


ミッシェル・フーコーは「監獄の歴史」の中で、十八世紀の建築家の考案した「監視のための理想建築」パノプティコンについて述べている。中庭のある円形の建物で各室の仕切りには窓がなく、住人は互いに接触できないようになっている。中庭には建物と同じ高さの監視塔が建ち、各階の居住者の動向は、水平の位置にいる監視人によって効率よく見張ることができる。


この建築様式は、監獄や病院などで採用されたにとどまったが、効率的監視による社会制御のアイデアは現代人のお気に入りだ。今やパノプティコンは私たちの心の中に建っている


現代の市民たちは、暴力で抑圧されることは少なくなったが、代わりに徹底的な評価で管理され「品質」ごとに階層分化されるようになった。この評価は内面化されて厳しい自己評価となり、自らを客体化して他者にとっての「品質の良い商品」になろうと必死になっている


摂食障害の少女たちの、鋭い自己批判と自己の身体の客体化は、その分かりやすい例である。拒食少女たちは、身体が極度に痩せ始めてから疾患と見なされるのだが、実は彼女たちの障害はそれ以前から始まっている。親にとっての良い子であり、学校教師にとっての成績優秀な生徒であり続けることが自己目的化した時点で、彼女たちは既に「生きにくさ」を感じ始めていたのである。こうした人々にとって、規範からの逸脱はそれ自体、回復への道を開く手段である


少女たちが彼女たちの身体を客体化し、異性にとっての「良い製品」である自己を作り出すことに汲々としている間、彼女たちの父親や母親は職場にとっての良い働き手、家族にとっての良い母親を演じ続けてやまない


職場に過剰適応している多くの父親たちは、それによる苦痛を感じることもないという点で、彼らの娘たちよりも危険なところにいる


彼ら仕事依存者たちは、そうした夫にひたすら奉仕する共依存的な妻たちの期待に応えて、ひたすら働き、豊かな人間関係と、成熟した自己洞察を失って行く。


現システムの「健全な家族」で営まれているのは、この種の非健全である


子どもたちは、職場での成績にしか生きがいを見いだせない仕事依存的な父親と、彼に奉仕しながら支配する母親を見ながら、家族という「居心地の良い牢獄」の中で成長し、他者から評価されることでしか自己を実感できない人に育つ。


学校制度は、この種の空虚な人格の養成を主な機能とし、その規範に同調する生徒は、次の世代の役割ロボットの合格品と判定される。


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地球ネコ
内村鑑三の言葉
日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
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武者小路実篤の言葉
何のためにあなたたちは、生きているのですか。国のためですか、家のためですか。親のためですか、夫のためですか、子のためですか。自己のためですか、愛するもののためですか。愛するものを、持っておいでですか。
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佐藤蓼丸

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