矛盾に満ちたタイプ
ドン・リチャード・リソ「性格のタイプ」春秋社 より
タイプ6は矛盾に満ちている。彼らは感情的には他人に依存するが、自分自身をあまり見せない。他人の近くにいたいが、彼らが信頼できる人かどうかをまず確かめようと試す。権威を崇拝し、しかし、それを恐れる。従順であり、しかし従順でない。攻撃を恐れるが、ときには自分自身きわめて攻撃的である。彼らは安全を求めていながら、不安を感じる。人から好かれ、慕われるが、卑劣で、嫌悪されることもある。伝統的価値を信じるが、それらの価値を覆しもする。罰を逃れたいが、自ら招いてもしまう。
タイプ6は、反応的で、一つの状態から他の状態、たいていは事実上の反対の状態に非常に素早く揺れ動くので、九つのタイプの中で最も当惑させる人々の部類に入る。タイプ6はあまりにもしばしば前言をひるがえすので、不可解で人を失望させることがある:彼らは愛らしくて人に慕われるが、続けてすぐに気難しく非協調的になる:彼らは果断で自己主張的であるが、続けてすぐ、ほとんど次の瞬間には優柔不断で煮え切らない。
自分にとって重要な人からの承認を求めるが、下位にい続けることは拒否する。従順であり、続けてすぐにあからさまに反抗的になり、権威が行うように命じたことからそれてゆく。その結果、タイプ6は最も矛盾した性格のタイプであるため、理解するのが最も難しい人々の一つとなる。
タイプ6を理解する鍵は、彼らは両価的(アンビヴァレント)であるということである。彼らの性格の二つの異なった側面が、攻撃的傾向と依存的傾向の間で揺れている。
彼らは自分が強いとも弱いとも、依存的とも自立的とも、受動的とも攻撃的とも感じる。ジキル博士とハイド氏の場合のように、タイプ6の刻々と変わる状態を予想するのはむずかしい。それぞれの<段階>で、彼らは、すぐに通り過ぎてしまい、その後に続くであろう性格とは、本質的に異なる性格をみせる。
事態をいっそう複雑にするのであるが、タイプ6は他人に対してだけではなく、自分自身に対しても両価的である。彼らは自分自身が好きであり、続けてすぐに、他人より劣っていると感じて自分自身をけなす。彼らは自信を持っていて、続けてすぐに、だれか他人の助けがなければまるで何も出来ないとでもいうように絶望して見える。彼らは弱腰で臆病だと感じ、それから突然に、怒りに満ちて人を攻撃する。
彼らの中では依存衝動と攻撃衝動の二重の組み合わせが働いて、さまざまに複雑な結び付きとして絶え間なく互いに影響し合う。なぜなら、タイプ6は外的な権威だけでなく、超自我という内的な権威に対しても、両価的に反応するからである。