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衰退の真犯人

ラビ・バトラ「貿易は国を滅ぼす」1993年 光文社/本書を読む前に・小室直樹 より


ラビ・バトラは断ずる。アメリカ以外の諸国はすべてアメリカの自由貿易により利益を受けている。アメリカ衰退の犯人は自由貿易であるだから、アメリカは自由貿易を止めて、競争的保護主義を国策とするべしというのが結論である


そうすれば、アメリカ経済は復活するであろう。競争的保護主義によれば、アメリカ経済の病気はすべて治癒される。極端な富の集中はべつだが


となると、日本、台湾、香港、シンガポールのような諸国、アメリカの自由貿易によって利益を貪ってきた諸国は金切声をあげるだろう。⇨ ラビ・バトラ「貿易は国を滅ぼす」


アメリカが自由貿易主義のリーダーになったのは、そう新しいことではない。英国帝国主義の座を奪えるほど強くなったので、保護貿易論者であった出生の秘密を隠して、自由貿易のチャンピオンになりおおせてしまっているのだ。


そこでもし、輝けるチャンピオンの座から引きずり降ろされるような大敵が現れたらどういうことになるだろう。もうなりふり構ってはいられない。出生の秘密などかなぐりすてて本性丸出しに、地位の不安に怯えた重症のノイローゼ患者のように、幼児体験への退行をおこして、偏執狂的エネルギーをもって保護貿易に回帰するかもしれない。⇨ 小室直樹「アメリカの逆襲」光文社 1980年


たいがいの日本人は、日本はアメリカの外圧によって、仕方がないから自由化するんだなんて思い込んでいるとしたら、それは、とんでもないことである。日米摩擦を避けるために自由化するんだということよりも危険な思想はない。ある日突然、アメリカが、もう自由貿易はやめましょう。お互いに保護貿易で行きましょう、なんて言ってきたらどうする。日本の息の根が止められる日である


本書は、理論的というよりも歴史的であり、示唆に富む。アメリカ経済が開放的となり、自由貿易にふみ切ったのは1973年であるが、爾来、アメリカ経済は急坂を転がる巨石のごとく落下し、貿易(経常)赤字は急積し生活水準は低下し貧富の格差は増大した


著者は多くの資料を駆使して、このことをデモンストレートしてくれる。アメリカの製造業が外国、とくに日本との競争に敗れて壊滅したからである。もって他山の石とすべし

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