依存的な関係
A・W・シェフ「嗜癖する社会」誠信書房 より
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私たちはまた、幼い頃から「安全(静的な、非プロセス的な概念)」を確保するためにはそのような相互の依存関係を手に入れなければならないと教えられてきました。女性は依存的なものだという考えに慣らされ、依存的な関係を探し求めるようになるのです。
不幸にも、嗜癖的な人間関係は、決して一人の依存的な人のみに関わるのではありません。少なくとも二人の人間を必要とし、嗜癖システムの中に両者が包み込まれない限り、この関係は維持できません。
嗜癖的関係はとてもパワフルで魅惑的で、これに抵抗するのは難しいものです。ある者は進んでその中に身を落としていきますが、気づかないうちにそこにのめりこんでいく者もあります。(中略)
相手なしでは生きていけないとお互いに固く信じているために、一人では歩くこともできません。彼らは教えられた通りの安全と貞節を手にします。後に残され一人ぼっちになる恐怖から、お互いに依存を深め合っていきます。関係性の安定が脅かされる恐れから、お互い自立した行為は取りたがりません。
関係性は嗜癖として機能し、お互いの欲求がすべて一致するように求められます。個々人の内面で実際に起こっていることからは目をつぶるためのものなのです。
嗜癖的な関係が崩壊し、各人ができる限り早く別の相手を(新しい関係性を)手に入れようともがく時、嗜癖的プロセスを行為としてつぶさに観察することができます。この大切な関係の終焉がもたらした辛く悲しいプロセスを避けて通ることができると、彼らは信じているのです。苦境が、その内面から目を逸らさせてしまいます。
外部で何かを見出しても、それで事態が再びよくなることはありません。悲しみと悲観はどちらにしろ続き、新しい関係性が成功することは稀です。
嗜癖的関係性の典型は、永遠に続く親子関係でしょう。子供が大人になり、自分自身に責任を負うようになれば、この親子関係は維持できなくなります。
