タイプ2と演技性人格障害
ドン・リチャード・リソ「性格のタイプ」春秋社 より
不健全なタイプ2(外向的感情型)は演技性人格障害に部分的に相当する。
MSDマニュアル・プロフェッショナル版 より
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■演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害は,過度の情動性および注意を惹きたい欲求の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。
演技性パーソナリティ障害患者は自分の身体的外見を利用し,他者の注意を得るために不適切に誘惑的または挑発的な形で行動する。患者は自主独往の感覚を欠いており,非常に被暗示性が高く,しばしば他者の注意を維持するために服従的に行動する。
一般人口の1.5~3%が演技性パーソナリティ障害を有していると推定されており,男性よりも女性に多い。
併存症,特に他のパーソナリティ障害(反社会性,境界性,自己愛性)がよくみられ,これらの障害に共通の生物学的脆弱性があることを示唆しているか,または演技性パーソナリティ障害が別個の障害であるかどうかについての疑問を投げかけていると言える。身体症状症も認められる患者がおり,これが受診理由となる場合がある。うつ病,気分変調症,および変換症が併存することもある。
*変換症は,無意識かつ意図なく発生する神経症状または神経学的障害から成り,通常は運動または感覚機能を障害する。その臨床像は既知の病態生理学的機序または解剖学的神経支配と合致しない。変換症状の発症,増悪,または持続は,ストレスなどの精神的因子に起因しているのが一般的である。診断は,原因としての身体疾患を除外した後,病歴に基づいて行う。
演技性パーソナリティ障害患者は継続的に注目の的になることを求め,そうなっていない場合にしばしば抑うつを生じる。患者はしばしば活発,劇的,情熱的でなれなれしく,新しい知人を魅了することもある。
このような患者は,潜在的な恋愛的関心によってだけでなく,様々な状況(例,職場,学校)でしばしば不適切に誘惑的かつ挑発的な形で衣服を着用し,行動する。患者は自分の外見で他者に印象づけたいと考え,そのため自分の外見にとらわれていることが多い。
感情の表現は表面的(急に感情を消したり,見せたりする)で誇張されていることがある。話しかたは劇的で,強い意見を述べるが,その意見を裏付ける事実または詳細はほとんどない。
演技性パーソナリティ障害患者は他者および最新の流行に容易に影響を受ける。非常に人を信用しやすく,特に,自分のあらゆる問題を解決してくれると考える権威者を盲信する。しばしば自分と他者との関係を実際よりも親密であると考える。新奇なものを渇望し,すぐに飽きる傾向がある。このため,仕事や友人を頻繁に変えることがある。遅れて来る充足感は患者にとって非常に苛立たしいものであるため,しばしば即座の満足を得ることに興味をもつ。
感情的または性的に親密な関係を得ることが困難な場合がある。患者は,しばしば気づくことなく,ある役割(例,被害者)を演じることがある。患者は誘惑的または感情的操作を利用してパートナーを支配しようとする一方で,パートナーに強く依存するようになることがある。