揺らいでいる理念
「アロハスピリット」とは人々の心と精神の調和である。そしてアロハスピリットは人々を自分自身に立ち返らせる。人々は良い感情を考え、他者へ良い感情を表さねばならない。➡ハワイ州法
■トゥルシー・ギャバード:大統領選挙アロハラウンチスピーチ(February 2nd, 2019 )より
アロハ、本当にありがとう。
私は、この楽園で育ち、泳いだり、サーフィンをしたり、楽しく過ごしました。私たちは、とても恵まれています。このハワイを故郷と呼ぶことができるから。
でも、徐々に分かってきました。本当は、他の人のために尽くすとき、私は一番幸せだということを。例えば、私たちの、水を守ること、海や大地を守るための行い。これらの行為は、自分の幸せを願うこととは、違う種類の幸せです。それは、心に宿る、より大きな幸せです。
そして理解しました。結局、自分の人生で何を選択しようと、私の信念は、人々に尽くすことから生まれるということを。私は兵士としての仕事に誇りを持っています。私は、15年間を州兵(階級・少佐)として過ごしました。長年にわたり、多くの仕事で、ハワイと私たちの国の人たちに、奉仕する機会を与えられたことに、とても感謝しています。
議員に選ばれたとき、私は21歳でした。ホノルル市議会のメンバーとして10万人に仕え、この6年間は、国会で奉仕しています。皆さんの信頼とアロハスピリットに感謝します。
私たちの政府は、人民の人民による人民のための政府という原則のもとに築かれています。私たちの国では、国民は尊重されるべきであると。しかし、今日、その理念は揺らいでいます。憎悪と分断が、アメリカ全体に暗い影を落としています。
私たちは、剛腕で利己的な政治家や、貪欲な企業によって、引き裂かれています。私たちの肌の色、宗教、あるいは政治信条を利用して、人々の間に憎しみ、恐れ、そして対立を扇動しています。この精神の腐敗は、貪欲と利己主義によるものであり、まさに、この社会の構造と民主主義そのものを、侵食しているのです。
これは、私たちのアメリカではありません。
我が国の善きものは、奉仕を職務とした退役軍人によって示されています。彼らは、愛する国と国民のために、個人の利益を犠牲にした人たちです。愛は、単なる感覚ではありません。愛は、行動を起こすための強力な力です。奉仕の精神をもたらすものです。
男性であれ女性であれ、制服を身につけた人々が、過去から現在、次の世代のために、隣人と国への愛のため、自ら進んで、その身を犠牲にしてきたのです、私たちすべてのために。
彼らは、特定の宗教や、特定の人種、特定の政党のために志願したのではありません。進んで志願するとき、私たちは、私たちの国と人々に貢献するため、私心を脇に置いて戦います。
私たちは、ただひとつのものです。分割することも破壊することもできない、互恵から生まれる、愛の絆による結びつきです。それは、利害よりも奉仕が優先するという精神です。
そして、その精神こそが、今日、私がアメリカ合衆国大統領への立候補を表明する理由です。私は、より高い価値を復活するために、この奉仕の精神をホワイトハウスに持ってゆきます。
大統領職への栄誉と尊敬を復活するために、そして何より、人民への愛と、国を愛するために。参加してください、お願いします。参加して、これを実現しましょう。利害よりも奉仕を上に置くのです。強欲と腐敗に対して、共に戦うのです。
腐敗者たちの汚物溜め
■トゥルシー・ギャバード:大統領選挙アロハラウンチスピーチ(February 2nd, 2019 )より
険しい道のりになるでしょう。戦いは厳しく、障害は大きいでしょう。しかし、人々と国への愛により、私たちが団結すれば、乗り越えられない障害はありません。勝てない闘いなどないのです。
ケネディ大統領は言いました。「国があなたに、何ができるのか問うのではなく、あなたが、国に何をできるかを問うのだ」と。
私たちは、私たちの歴史が危機的な状況である現在、この問いかけに耳を傾ける必要があります。私たちは、立ち上がり、この国の魂のために戦わなければなりません。既得権益に追従し、金で左右されるような政治家に対し、声を上げるのです。
現大統領のトランプは、沼を浄化するどころか、それを腐敗者たちの汚物溜めに変えました。
抵抗しなければなりません。巨大製薬企業や保険会社にです。彼らは病人を食い物にしています。人々の健康や福祉よりも、儲けを優先しているのです。私たちは立ち上がり、全国民が、必要な高いヘルスケアを受けるための、国民皆保険を実現させなければなりません。
抵抗しなければなりません。私たちのお金と未来で、ゲームをしているウォール街に対して。
抵抗しなければなりません。国家安全保障と企業の利益を名目にして、市民の自由を脅かす、行き過ぎた情報機関や巨大なハイテク企業に対して。
私たちの故郷、私たちの水、そして海をを汚染する人々に対して立ち上がり、闘いましょう。
立ち上がりましょう。堕落した刑事司法制度の影で、不当に利益を得ている刑務所産業に。彼らは、マリファナを吸う人々を刑務所に入れる一方で、オピオイド関連死により、数千名の命を奪った製薬会社に対しては、おとがめなしなのです。現在の刑事司法制度は、権力のある金持ちを優遇し、弱い立場にある人を厳しく罰するのです。
立ち上がりましょう。人種、宗教、性的偏見により、私たちの兄弟姉妹に対して、憎悪と暴力を与え、偏見を永続させる人々に対して。
抗議しましょう、現政権に対して。彼らは、アメリカ・ファーストを主張しながら、私たちの軍隊や武器を、どこであれ、最高落札額を提示する外国に、売り渡しているのです。
抗議しましょう、兵士を政治の駒として利用する人々に。彼らは、我が国の兵士を、傭兵として世界中に派遣し、兵士の名誉を貶めているのです。
抵抗しましょう。象牙の塔にこもり、終わらない戦争のために、兵士の死に場所を決めている、既成政党の大物政治家に対して。彼らは、数兆ドル、数十万人の命を犠牲にして、私たちの経済を蝕み、中産階級を滅ぼしているのです。
隠れる場所などない
■トゥルシー・ギャバード:大統領選挙アロハラウンチスピーチ(February 2nd, 2019 )より
トランプが大統領に立候補したとき、彼は、他国の政権を転覆させるための戦争に反対していました。しかし、現在では、彼の回りにいるネオコンの要望に従い、ベネズエラやイランにおいて、体制変換を進めています。
彼ら、強い力を持つ政治家が、犠牲者の名誉を汚しているのです。兵士たちや、私たち国民すべてが、戦争の代償を負わされています。事実、9/11以降の数兆ドルの戦費は、私たちが支払っています。体制変換にせよ、新しい冷戦にせよ、最終兵器競争にしても、すべて我々の税金から支出されるのです。それは本来、私たちの家族や、コミュニティの必要を満たすために、使われなければならなかったお金です。
私たちは強く団結し、終わらない戦争に飽くことのない二大政党に対し、立ち向かわなければなりません。どの政権においても、私たちを巻き込み、新冷戦を悪化させ、核戦争の瀬戸際へ押しやるネオリベとネオコンに対して。
私たちには、より善い価値があるはずです。
ちょうど一年前、私たちは、ハワイが核攻撃を受けると思いました。学生たちは、必死に避難所を探して、キャンパスを走りました。父親は娘を、マンホールの中に隠しました。人々は子供を車に乗せ、山へ登り、避難するための洞穴を探しました。母親は子供と浴槽に隠れ、怯えていました。父親は、人生の最後の数分間を、どの子供と過ごすか、選ばなければなりませんでした。
避難場所は、どこにもありません。隠れる場所など、どこにもないのです。
兵士たちは、人々や国家に奉仕するために、望んで志願しました。しかし、私の六歳の甥マルーは、そのような選択はしていません。皆さんも、私たちの家族も。私たち兵士は、国を安全に保つため、私たちを脅かすものを倒すため、自分の意志で戦います。
しかし、強力な政治家が戦争のドラムを打ち鳴らし、ロシアや中国などの核武装国間の緊張を高めるにつれて、私たちは核戦争の瀬戸際に追いやられ、それは今、私たちの玄関先に到達したのです。
現在、世界には一万四千発の核兵器があります。それらの多くは、広島や長崎に落とされた原爆よりも、はるかに強力で、世界を何度も破壊するのに十分なのです。
20世紀を通して、ソビエト連邦との冷戦の間、いつ核戦争で全滅するか、恐れて生きるしかないと聞かされて生きてきました。学校の子供たちは、警報を聞いて、机の下に隠れる訓練をしていました。余裕のある人たちは、核シェルターを建てましたが、それ以外の人は、自分たちが生き残れるかどうか不安になりました。
ソビエト連邦の崩壊により、その危機は消えたはずでした。しかし、指導者たちは、私たちを失望させます。私たちは、かつてないほど、原子力災害のリスクにさらされています。この状況を、受け入れることはできません。
勇気が無ければ、唯一の選択肢は戦争
■トゥルシー・ギャバード:大統領選挙アロハラウンチスピーチ(February 2nd, 2019 )より
責任の重大さを理解している軍人として、私は、大統領の最も重要な責務は、軍の最高司令官であることだと考えます。
本日、ここに参加してくれた、かつて兵士だった方々に感謝の意を表します。戦争の犠牲を直接経験した人たちは、平和の実現のために、真剣に戦ってくれます。
私は、2005年に医療部隊として、イラクに派遣されました。戦争のための高価な代償に、日々直面し、誰が犠牲になったのかを知りました。
私は、国を守る責任を、重く受け止めます。
弱さこそが、攻撃性を助長するのです。制服を身につけた、私たち兵士は、安全を脅かす敵に立ち向かい、これを倒すための覚悟があります。
現在の外交政策が、私たちの安全保障を弱体化させているのです。資源を枯渇させ、軍は疲れ果てています。
私は、国民のための最高司令官となって、新たな冷戦を終結させます。そして、ほんの数分で世界を破滅させる核戦争の深淵から、引き戻します。
紛争ではなく、協力に基づく外交政策を主導し、共通の利益に基づく、他国間のパートナーシップを構築します。
あまりにも多くの人命を奪い、数兆ドルを浪費した、政権転覆のための軍事介入を止めさせます。それは、アルカイダやISISのようなテロリストグループを強化し、私たちの安全を弱体化しました。
私は平和と国家安全保障を追求するためには、敵であれ友人であれ、話し合うための覚悟ができています。意見の合わない人々と、話し合う勇気がない場合、唯一の選択肢は戦争です。
戦争から平和へと、歴史の流れを変えるのです。私たち全員が強く結束し、軍産複合体と「終わらない戦争」にしがみついている、利己的な政治家に対して、立ち向かう必要があります。
マハロ・ヌイ・ロア アロハ
■トゥルシー・ギャバード:大統領選挙アロハラウンチスピーチ(February 2nd, 2019 )より
2005年、イラクに派遣されたとき、キャンプのメインゲートに、このように書かれた看板がありました。「今日がその日か?」
それは、怖ろしい忠告でした。目覚めてから、眠りにつくまで、いつなんどき、死んだとしても、不思議ではなかったのです。そして、こう思いました。「自分の時間を、最大限活用するには、どうするべきなのか?」
これは、現在、私たち全員が直面している現実です。無駄な時間など、ないのです。危機が迫っています。そして選択は、私たち次第なのです。変化を起こすために、私たちは、呼びかけに応じなければなりません。
奉仕の精神を自分の上におき、自分の利益よりも、社会全体の利益を優先させるのです。私たちは、立ち上がり、行動します。そして、私たちは勝利します。
愛は「弱さ」ではありません。愛より強い力は、ありません。消防士が、見知らぬ人の命を救うため、燃え盛る炎のなかへ飛び込むのが、愛の力です。スピード違反の車の前に飛び出して、子どもを救う母の強さです。兵士が、他の人の命を救うため、自分の命をわきに置くような、強い精神の力です。
愛は、お互いを気遣い、お互いのために戦います。自由と社会のために。
私たちの国が、今これまで以上に必要としているのは、「アロハ」の精神です。お互いへの尊敬と愛、そして私たちの国を愛する心。これは、私たちのハワイが、我が国と世界に対して、供しなければならない、最も貴重な贈り物です。
アロハは、ハロー・グッバイ以上のものです。アロハとは「私は心を開いて、あなたに会います」ということです。あなたを尊敬し、あなたを気遣い、あなたを愛していますという、意味です。
友人であれ、見知らぬ人であれ、私はアロハの気持ちで会いにゆきます。あなたの肌の色が何色で、どこの出身で、どの神を信じるか、誰を愛するか、どの政党に属しているかにかかわらず。
キング牧師は、初めてこの島を訪れた1959年に、ハワイ州下院での演説で、アロハの力について語りました。
「私たちは、気高い例として、あなた方から霊感を受けました。あなた方は、人種間の調和と、人種間の正義について、すでにこれを達成している。本土において、非常な困難のために、達成されていないにもかかわらず。」
今、この瞬間に、人間の人間に対する残虐行為という、悲惨な暗闇に囚われた人には、この島を訪れたとしても、自由、尊厳、そして、差別のない正義の夜明けを、目にすることは出来ないでしょう。キング牧師が、本土に帰ったのち、彼は体験を語りました。「様々な顔、様々な民族が、海の水のように混ざり合っているが、私には、ただ一つの顔だけが見えた。未来という名の、ただひとつの顔が 。」
ジョン・F・ケネディもまた、1963年にハワイを訪問し、アロハの力を知りました。「私たちは、私たちが望むすべてを体現する、この島を誇りに思います。」
変革は、ホワイトハウスから始めなければなりません。ホワイトハウスは、すべての人々にたいする、尊敬、愛、思いやりの灯火でなければなりません。
私たちの国は、人々の犠牲のうえに繁栄した王様による支配を拒否し、リーダーは自身の利益を動機とするのではなく、自分の利益よりも奉仕を上におくという価値観によって、成立しています。
人々の、心の中心に愛があります。名誉、勇気とともに、この国の礎になった理想、それが愛です。私たち、一人ひとりに、今なお輝く光です。
私たち一人ひとりが、お互いのため、今一度立ち上がり、団結しなければなりません。私たちの国と、世界のために。
私たちの目的は、私たちの命運を、私たちの手に取り戻すために、今までとは違う、新しい道を創造することです。そして、自己を超越する目標を求め、利害よりも奉仕を優先するという、比類なきアメリカの理想を、取り戻すのです。
そのために、私はすべてのアメリカの人々に、呼びかけるのです。私は、皆さんが私と一緒に立ち上がり、国内外の平和のための運動を創造することを、求めています。そして、この運動によって、すべての人のための自由・正義・平等がもたらされるでしょう。
ありがとうございました。
マハロ・ヌイ・ロア アロハ