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転位

藤原新也「東京漂流 」朝日文庫 より

神仏や仏壇の座がテレビの座に成り替わったということは、時代の様変わりや、価値観の変異を示す象徴的な出来事であるといえる。


かつてその家の中心には、死のイメージすら匂う沈黙が支配していた。それが突然、ひたすら生のイメージを拡大謳歌する喧噪へと逆転したのである。


またかつての家族の価値観の一つの核となっていた神や仏は、人間のとりとめのない煩悩を諫める精神的エーテルとでもいうべきものを、家の中に漂わせていた。しかし、それがテレビに成り替わってから、それは欲望や煩悩を刺激するエーテルへと逆転したのである。


その、時代の価値の逆転を、より具体的な言葉によって対比するなら、たとえば次のようなかたちになる。それは、その二つの異なる時代の大衆に向けて神格的なものが発した十の戒め、つまり「十戒」とでも言えるものだ。


生産と消費の能率的な回転こそが、資本の膨張と拡大をうながし、ひいては日本国民を豊かにするという目的のもと、高度成長期にあたって、政府や企業はさまざまな煩悩を結集し、生産と消費促進のためのプロジェクトを組んだわけだが、そのプロジェクトの一つに、現代の消費文明を性格を端的に言い表す十戒と言うべきものが現れた。


それは、大企業のオピニオンリーダーであり東大教授でもある経済学者・林周二が提唱した、「大衆の浪費を刺激する10の戦略」である。この10の戦略には、器具や商品に対する大衆の欲望をいかに飽かせずに駆り立て浪費に導き、それによっていかに資本の拡大を図るかということが、ある種の滑稽とでも言える手法によって描き出されている。


■大衆の浪費を刺激する10の戦略

1、捨てさせる -100円のライターや、1000円の時計など

2、無駄使いさせる -大きめの角砂糖や、ちょっと押しただけでスーッと出て、元に戻らないエアゾール式容器

3、贈り物にさせる -バレンタインデーセールや父の日のセールなど

4、蓄えさせる -洋酒ビンや全集本など

5、抱き合わせ商品にする -カメラの速写ケースなど

6、きっかけを与える -読書週間や虫歯予防デーなど

7、単純化させる -専用ビタミン剤や、七色ウィークショーツなど

8、セカンドとして持たせる -セカンドハウスやセカンドカーなど

9、予備を持たせる -タイヤ、電球などのスペア性のものやフィルムなどストック性のもの

10、旧式にさせる -まだ使えても旧式だと思わせる

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日本に欠乏しているものは何か。それは富ではない。知識ではない。才知ある計略でもない。愛国心でもない。道徳でもないだろう。欠けているのは「生きた確信」である。真理そのものを愛する「情熱」である。この確信、この情熱からくる無限の歓喜と満足である。
武者小路実篤の言葉
何のためにあなたたちは、生きているのですか。国のためですか、家のためですか。親のためですか、夫のためですか、子のためですか。自己のためですか、愛するもののためですか。愛するものを、持っておいでですか。
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私たちは体においてよりも、心において不健康である。⇨ ラ・ロシュフコー

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