出口なしの量的緩和~このままでは大変なことに-4
JIJI.COM:出口なしの量的緩和やな ~このままでは大変なことになる~【怒れるガバナンス】より
こうした中国のFRBに対抗する姿勢、特に中国が投機的資金ではなく、インフラ需要の資金を新興国中心に提供している点を評価する。
しかし私は、中国の一帯一路政策というインフラ投資が、新興国を債務漬けにしている問題を看過すべきではないと思う。これは単にアンチチャイナの視点というわけではない。
事実、ミャンマーに取材に行った際、中国のインフラ投資によって自然破壊が進み、中国企業排除に乗り出そうとする庶民の怒りの声を聞いている。
中国は、私に言わせれば、投機的資金を提供していないかもしれないが、自国の覇権のためだけに資金をばらまいているように見えるのだ。これはマジック・マネー・システムと同様に問題が大きい。
◇恐ろしい状況
彼女にも、このマジック・マネー・システムをやめる、すなわち量的緩和の出口を探る良き方法が提示できないようだ。
彼女はニュートンの慣性の法則「動いている物体は、外的な力が加わらない限り動き続ける」という言葉で中央銀行のトップたちの姿勢を表現する。
彼らは、これからもマジック・マネー・システムを動かし続けるのだ。外的な力、すなわち戦争や世界規模の経済的破滅だろうか、それらが起きるまで。
ああ、何と恐ろしいことかと天を仰ぎたくなるが、私たちは今、本当に危険な、いつ破滅するとも分からない状況に置かれているのだ。
当初の地銀の話に戻すと、地銀の6割もが赤字になり、経営危機になるということは、日本の地方が破滅するということではないか。こんなことを予測して騒いでいるくらいなら、政府も経済界も有効な危機対策を早急に検討すべきだ。
それは唯一、量的緩和策の「出口」を探すことだ。このままだと迷路に迷い込んでただ死を待つだけになる可能性がある。
【筆者紹介】江上 剛(えがみ・ごう) 早大政経学部卒、1977年旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。総会屋事件の際、広報部次長として混乱収拾に尽力。その後「非情銀行」で作家デビュー。近作に「人生に七味あり」(徳間書店)など。兵庫県出身。