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言うことを聞かない体

ケン・ウィルバー「無境界・自己成長のセラピー論」平河出版社より

この心身のあいだの境界線は、誕生時にはまったく存在しなかた奇妙なものである。だが、成長し、自己/非自己の境界を設け、それを強化しはじめると、自分のからだに対して入り混じった感情を抱くようになる。からだは自己の境界の内側に直接入れてしまっていいものだろうか。あるいは、異質な領域ととらえたほうがいいのだろうか。どこに線を引けばいいのか


ところが一方、からだは一生を通じて快楽の源となるものである。エロティックなエクスタシーから、ごちそうの微妙な味や日没の美しさを感じるのは、からだの諸感覚である。ところが、からだには不具の痛み、病による衰弱、ガンの苦しみなどの恐怖がすみついている。


子供にとってからだは、快楽の唯一の源である。だが、同時にからだは両親とのいさかいや苦痛の第一の源でもある。そのうえ、からだはまったく訳のわからない理由で始終両親をビリピリさせたり、悩ませる廃棄物を生産しているように子供には思える


おねしょ、尿、鼻水――なんという騒ぎだろうか..これは全部このからだと関連しているのだ。どこに線を引くかだんだん難しくなってくる。大人になる頃にはほとんどの人が、だいたい哀れなロバに別れを告げている。自己/非自己の境界が固定されたときには、ロバは確実に壁の外におかれている。からだは外の世界同様、ほとんど(完全にそうなることはない)異質な領域になってしまう。


ミニチュア人間


要するに、自分のアイデンティティと感じているものが、自らの有機体全体を直接包括せず、自我と呼ばれる有機体の一つの局面だけ限られてしまうのである。つまり、頭のなかの自己イメージとそれに関連した知的、感情的プロセスにアイデンティティをもつのである。


自らの有機体全体とアイデンティティを正しくもたないために、その有機体のイメージや心象にアイデンティティをもつのだ。こうして自分を「自我」と感じるようになり、からだは自分に従うものにすぎなくなってしまう。ここで自我、自己イメージをアイデンティティとして確立するもう一つの境界線が生まれるのである。

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