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市場的性格構造


エーリッヒ・フロム著「生きるということ」紀伊國屋書店


市場的性格のパーソナリティは、執着すべき自我、彼らのものであって変化しない自我を持つ(19世紀の人びとが持っていたように)ことさえない。というのは、彼らはたえず自我を変化させるからであって、その基準となる原理はこうである。


私はあなたのお望みしだいです」。市場的性格構造を持つ人びとは、動くこと、最大の効率をもって物事を行なうことのほかには、目的を持たないなぜそんなに速く動かなければならないのか、なぜ物事は最大の効率をもって行なわれなければならないのか、と尋ねられたら、彼らはまともな答えを持たず、「より多くの製品を造るため」とか、「本社を大きくするため」などと、合理化をするだろう。


彼らはなぜ人は生きているのか、なぜ人はあちらの方向ではなくこちらの方向へ行くのか、というような哲学的、あるいは宗教的な問いには(少なくとも意識的には)ほとんど関心を持たない。彼らは大きな、常に変化する自我を持っているが、だれも自己核心同一性の感覚を持たない。


現代社会における〈同一性の危機〉を生み出したのは、実はその構成員が自己を持たない道具となり、彼らの同一性が会社(あるいはほかの巨大な官僚制組織)の一員となること にかかっている、という事実である。


真正の自己のないところには、同一性はありえないのである


市場的性格は愛することもなく、憎むこともない。ほとんど完全に頭脳の水準で機能し、感情はよきにつけ悪しきにつけ、市場的性格の主たる目的を妨げるからすべて避けるという性格構造にとって、これらの〈古風な〉情緒はふさわしくないのである。


ところでその主たる目的とは、売ることと交換すること――より正確に言えば、彼らがその一部となっている〈巨大機械〉の論理に従って機能することであって、いかにうまく機能しているかを、官僚制の中での昇進によって知る以外には、何も間うことをしないこと――なのである。


T3・不健全な状態1

T3・不健全な状態2


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