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隠れた順応主義者

バビット1


バビット2


ロバート・N・ベラー「心の習慣・アメリカ個人主義のゆくえ」みすず書房 より

しかし、トクヴィルも論じたように、伝統や権威に依存することはもはや許されないとしたら、個人は、自らの判断の正しさを確認するためにどうしても他者へと目を向けざるをえなくなる


結局、既成意見の受容拒否も、仲間の意見への不安げな同調も、同じコインの表と裏なのである。家庭と家族から逃走し、共同体と伝統の諸価値から離別するアメリカ的個人主義者も、実は隠れた順応主義者なのではないか。


これはアメリカ人の積年の不安となっている。マーク・トウェーンは、青年時代を送った19世紀中葉の町におけるうっとうしい順応性を、二人の少年の冒険に託して物語っている。少年たちはこの順応性から自由になろうとするが、ついにうまくいかないのだった


ずっと下って1920年代には、シンクレア・ルイスが『バビット』のなかで、古典的アメリカ人の姿を、自分の政治的信念をもつについても、愛のなかに個人的幸福を追求する時にも、近所や家族からの非難に神経を尖らせないではいられない小都市の実業家として描いて見せた。バビットは息子に自分と同じ過ちをしないようにと忠告するが、このあたりに彼の問題がよく現われている。「家族を恐れちゃいけない。いや、ジニスじゅうのみんなをだ。いや、自分自身だって恐れちゃいけないんだ――私みたいに」。


過去100年間、個人主義とその両義性は中産階級の社会的地位と緊密に結びついてきた。第5章で指摘したように、19世紀後半に出現し始めた「中産階級」は、それ以前の「ミドリング・コンディション」(中等身分)とは異なるものである。この用語の真の意味において、中産階級とは物質的改善への欲求によってばかりでなく、成功の梯子を上昇することへの意識的で打算的な努力によって定義されるものである。


デヴィッド・シュナイダーとレイモンド・スミスは、中産階級を定義して「地位の移動に向けられたある特定の態度、願望、期待を有し、それに応じた行動を形成する人々より構成された、幅広くはあるが未分化ではないカテゴリー」としたが、これは有効な定義である。


地位がどこまで上昇するかは、より高度の教育を受けたかどうか、あるいは専門知識を必要とする経営管理的・知的専門職においてどこまで能力を発揮できるかにますます左右されるようになってきている


中産階級のアメリカ人にとって、教育や職業の選択に対する打算的姿勢は本質的なものである。この打算性が配偶者や友人や自発的団体の選択基準のなかにまで入り込んでいることも珍しくない

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