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新しい産業社会の秩序

ロバート・N・ベラー「心の習慣・アメリカ個人主義のゆくえ」みすず書房 より


1880年代と第一次世界大戦の間に起きたアメリカ社会の変貌ぶりは、驚くほどの拡がりと速さをもつものだったが、それは新たな国民意識をかきたて、きわめて活発な論議をまきおこした。当時の観察者は、まるでアメリカ人の生活パターンそのものが新たにつくられつつあるかのようだと言っている。


1893年の夏、華やかに幕を開けたシカゴのコロンビア万国博覧会で、歴史家フレデリック・ジャクソン・ターナーはあの有名な論文を発表し、偉大な西部のフロンティアはついに消失した、このフロンティアの消失とともに19世紀アメリカの強さと楽天主義はいまや収縮の危機に直面しようとしていると論じた。


その少し後に、セオドア・ローズヴェルトが国民に対して攻撃的に「奮闘生活」を呼びかけたとき、これこそ今必要とされている国家の革新の始まりだとして多くの人々が歓迎したが、ジャーナリスト、ウォルター・リップマンもその一人であった。


「簡単に拡張できる時代は去った」――ローズヴェルトの訴えかけを説明して、リップマンはこう述べる。セオドア・ローズヴェルトは「国家的安定と社会正義が意識的に模索され、注意深く維持されなければならないことをはっきりと悟った最初の大統領である。......アメリカ人の意識を20世紀に進むべき方向へと向け直そうというのだ」。


かくして政治的言説の文脈は世紀の変わり日とともに変わり始めた。19世紀に典型的だったイデオロギーの装いをもたぬ利益競争は、多くの人々の目には新しい経済的・社会的状況を前に対処しきれなくなったものと映るようになった。


改革」という言葉が、意識的な手段を用いて「国家的安定と社会正義」を模索することを意味するようになった。


姿を現わしつつある産業社会の秩序を、いかにして、またどのような形で存続可能で道徳的にまっとうな国民社会へと形づくっていくべきか――この問題が問われていた。その答えのひとつはエスタブリッシュメントのヴィジョンであった。それは主として産業界・金融界のエリートたちの一群と結びついたものである。

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