fc2ブログ

教育によって、ばかになる

エーリッヒ・フロム著「自由からの逃走」東京創元社

子どもの行動が不満だといって合理化される不機嫌さから、両親の性的行為や喧嘩をかくすことにいたるまで、子どもは「知ることを予想されない」ものとされ、質問すると、叱られるか、あるいはやさしく問題をそらされてしまう


子どもはこのように準備されて、学校や、たぶん大学にまではいっていく。私はこんにち用いられている教育方法で、じっさいには独創的な思考を妨害しているいくつかのものを、簡単にあげてみよう。


その一つは、事実についての知識の強調、あるいはむしろ情報の強調というべきものである。より多くの事実を知れば知るほど、真実の知識に到達するという悲しむべき迷信がひろまっている


何百というバラバラの無関係な事実が学生の頭につめこまれる。かれらの時間とエネルギーは事実をより多く学ぶためについやされ、ほとんど考える暇はない。たしかに、事実についての知識のない思考は、空虚で架空である。しかし「情報」だけでは、情報のないのと同じように、思考にとっては障害となる。


独創的な思考を阻害するもう一つの方法は、これと密接に関係しているが、すべての真理を相対的なものとみなすことである。真理を形而上学的な概念と考えて、真理を発見したいなどといえば、現代の「進歩的な」思想家によってうしろむきだといわれる。真理はまったく主観的なことがら、ほとんど嗜好のことがらに近いと主張されている


科学的な探求は主観的な要素から離れなければならず、感情や関心を抜きにして世界を眺めることが科学の目標である。科学者はあたかも医者が患者を取り扱うように、消毒した手で事実を取り扱わなければならない。


経験主義実証主義という名のもとにしばしばあらわれ、あるいは言葉の正確な使用をめざすのだといって自慢しているこの相対主義の結果は、思考がその本質的な刺激ーーすなわち考える人間の願望と関心ーーを失うことである。そのかわりに、それは「事実」を登録する機械となる。


記事分類
新薬販促のため多額の金銭をバラまき
原子力発電所の仕組み M.V.ラマナとサジャン・サイニ
小出裕章「原発の終わらせ方~福島原発事故から10年のいま~」
ウクライナ・オン・ファイヤー
ジョン・ミアシャイマー「ウクライナ戦争を起こした責任はアメリカにある!」
健全な精神の小さな火花を燃やせ!
藤原直哉/4月:時局分析
藤原直哉/5月:時局分析
*
*
ランキングに参加しています
FC2ブログランキング
INポイントランキング
リンク
プロフィール

佐藤蓼丸

Author:佐藤蓼丸

内村鑑三の箴言
キルケゴールの箴言
芥川龍之介「蜘蛛の糸」朗読
クソどうでも良い仕事" は誰のため?
故赤木俊夫氏の主治医インタビュー
「悪の凡庸さ」ウィシュマさん死の映像
悪の本質は「受動性」
なぜ少なからぬ政治家はカルトに親和的なのか
能力の低い人ほど自己評価が高い/ダニング=クルーガー効果
能力の高い人ほど自己評価が低い/インポスター効果
【真理省】が捏造するプロパガンダ「オーウェル的な」
暴君のいない暴政「カフカエスク」
ナルシシズムという病
加藤諦三「ナルシシズムと攻撃性」
ケン・ロビンソン: 「教育の死の谷を脱するには」
陰(イン)陽(ヤン)の隠された意味 - ジョン・ベラミー
トゥルシー・ギャバード:大統領選スピーチ
エマ・ワトソン親善大使 国連でのスピーチ
マララ・ユサフザイ 国連本部でのスピーチ
グレタ・トゥーンベリ COP25でのスピーチ
「ミソジニー」ってよく聞くけど、どういう意味ですか?
予備校のノリで学ぶ「エントロピー」
諸行無常と諸法無我
藤原直哉「老齢先進国はどこへ行く」
藤原直哉「世界のタガが外れつつある」
藤原直哉「錯乱から沈黙に」
藤原直哉「トランプがSNSに戻ってきた」
金利上げるの?上げないの?【デモクラシータイムス】
2008年金融危機からの禁じ手による反則負け