父親に向いたタイプ
ドン・リチャード・リソ著「性格のタイプ」春秋社
エニアグラムにはなぜ性格の基本タイプが九つあるのか、その理由を、もう一つの観点、子供と両親との関係という観点から考えると、理解することができる。発達上の観点からみれば、 エニアグラムは、あらゆる時代とあらゆる文化のすべての人に適用することができる普遍的な類型論である。
なぜなら、 エニアグラムは、すべての人が両親ともつことになる可能性のある九つの関係を概説するからである。すべての人には例外なく、生きていようと死んでいようと、 一緒にいようと不在であろうと、よい親であろうと悪い親であろうと、二人の親がいる。
すべての子供が両親に対してとり得る基本的な定位は九つしかないため、性格の基本タイプも九つである。人はみな、遺伝学的な素質と環境的な要素を含めた幼児期の全体験から、結局、次のような九つの全般的定位の一つを身につけ、したがって、九つの性格の基本タイプの一つに発達する。
すべての性格の基本タイプは、初めての定位が「母」に対してであったか、 「父」に対してであったか、それとも、同等に「父と母」に対してであったか、その結果によって決まる。(この二種類の定位の組み合わせが、弁証法になっていることに留意されたい。)
次に、その最初の定位は、本質的に、「肯定的」「否定的」または「両価的」のどれか一つであったであろう。(この二つの態度の組み合わせが、もう一つの弁証法になっていることに留意されたい。)子供がどちらの親に、どのような種類の定位で依存するかによって、九つの別個の性格のタイプが生み出される。
■父親に向かうタイプ(追従・自己縮小型で法と秩序のタイプ)
6・2・lのグループ(父親に向かうタイプ)は追従的であることによって自分自身を防衛する性格のタイプ(ホーナイの「他者に近づく」タイプ)である。 一般的に、これらの人たちは、法と秩序の性格のタイプである。従順さが全体像を特徴づけるが、彼らは、実際には、攻撃的な傾向と追従的な傾向の混じり合った人物である。
他人もしくは不安から圧迫を受けると、法と秩序のタイプは、破壊的な行動を爆発させる傾向がある。
父親の影響、そして、父親によって象徴される内面化された禁制の影響が、疑い深くて権力に盲従する性格(不健全なタイプ6)独善的で懲罰的な人格(不健全なタイプ1)そして、罪悪感がしみ込み、人を操るタイプ(不健全なタイプ2)を生み出す。これら三つのタイプはすべて、社会のしきたりを内面化させてしまっているため、それぞれのやり方で権威の象徴の役割を演じる一フロイトの用語では、彼らは非常に活発な超自我をもつ。
子供の両親に対する定位は、性格決定の主要な要素の一つであり、性格のタイプは、最終的には文化の変化に影響を与え、今度は、文化の方が両親の子供の育て方に影響を与え・・・こうして、この循環を永続させることは、驚くに当らない。人、家族、文化は、相互に依存する。他の二つ抜きに、その一つはあり得ない。