バランスの力学
ドン・リチャード・リソ著「性格のタイプ」春秋社
それぞれの<三つ組>で核となる問題に加え、 一つひとつの性格のタイプは、フロイトのいう精神機能の<三つ組>に支配されており、それは、その<三つ組>の核となる問題とは対立する。
例をあげると、性格のタイプ2は、その超自我に支配されている。思い返してみれば、タイプ2の自尊心は、その善行や善意によって人々から愛されているという感情にかかっていた。
タイプ2は、自分が人を愛さなかったり、利己的であったり、攻撃的であったりなどすると、罪悪感をおぼえる。その超自我がタイプ2の精神生活を支配しているが、一方でそのイド(攻撃的、性的動因)も、全体像の重要な一部である。
したがって、フロイトの力学的原理を解釈するならば、タイプ2の超自我とイドは、相互にある種の潜在的対立の中にあると言えよう。
タイプ2は、タイプ4(そこでは「自我」は図の円周上にある)に動くことによって、自分の自我をその超自我およびイドと平衡させる必要がある。 一方、もしタイプ2が神経症になって〈分裂の方向〉に動けば、タイプ2はタイプ8に行き、そのすでに強力なイドにさらにイドの力を加え、その結果、その攻撃的衝動は、圧倒的になり破壊的になる。
最後に、それぞれの〈三つ組〉特有の問題が、タイプ3、タイプ6、そしてタイプ9によって強められていることが理解できる。これら根源的タイプは、感情、行動、関係、したがって、それぞれ、イド、超自我、自我に関して、最大の問題を抱えている。
たとえば、タイプ3は自分のイドに関し、タイプ6は自分の超自我に関し、そして、タイプ9は自分の自我に関し、ある種の特別な問題をもつタイプとして、特徴づけることができる。
たとえば、タイプ3のイドの問題は、彼らが自分の感情とまったく接触を絶ってしまい、不健全なときには故意に敵対的になるという結果を生む。タイプ6の超自我の問題は、彼らが権威の象徴の攻撃を内在化させ、それを他人に向けては好戦性として外に、自分自身に向けては嗜虐症として内に向けることから生じる。タイプ9の自我の問題は、彼らが個々の人間としての自分自身とまったく接触を絶ち、ついには、現実に適応できず、現実から遊離するという結果を生む。