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もう一つの世界法則

陽窮まれば陰


外向タイプ-陽


エーリッヒ・フロム著「自由からの逃走」東京創元社

知覚や認識は必ずしもすべてが客観的なものではなく、主観的な制約も受けている。


いやそれどころかわれわれは根本的に言って主体に同化できない世界を判断するために有効に働く判断基準などというものは絶対に持っていないのである。


もし主観的要因を見逃すならば、絶対的な認識可能性への重大な疑間を否定してしまうことになる。


もしそうなれば世紀の変わり目に醜い姿を見せた、あの虚ろで味気ない実証主義に陥ってしまい、同時に粗暴な感情や鈍感で尊大な暴力性の先駆形態である、あの知的放漫にも陥ってしまう


陽極まれば


客観的な認識能力を過大評価すると、主観的要因主体の意味そのもの・が抑圧されてしまうのである。だが主体とは何であろうか。


主体は人間であり、われわれが主体である。認識作用には主体があるということ、そしてもし「私が認識する」と言う者がいなかったらそもそも認識など存在せず、それゆえわれわれにとっていかなる世界も存在することがなく、


しかも「私が認識する」と言うこと自体がすでにあらゆる認識が主観的に制約されていることを表わしているのを忘れてしまうのは病的である


これと同じことはあらゆる心的機能にも当てはまる。すなわち心的機能には主体があり、これは客体と同じくらいに不可欠なものなのである。


「主観的」という言葉には時に非難の意味が込められたり、いずれにしても「主観的にすぎない」という形で、客体の絶対的優位性を全面的に認めようとしない人を確実に狙う武器として用いられるが、このことはわれわれの時代が外向的な評価をしていることを示している


私が主観的要因と呼ぶのは、客体の作用と融合して新しい心的状況を作り出していく心理的な働きないし反応のことである。


ところで主観的要因は人類の黎明期より地上のあらゆる民族においてほとんどまったく変わることがなかったが――というのは基本的な知覚や認識はいわばいつでもどこでも同じだから――、この意味において主観的要因も外的な客体と同様に確固とした基盤をもつ現実である。


もしそうでなかったら、何か永続的で本質的には変わらない現実があるなどということは言えなくなってしまうし、また伝承されたものを理解することなど不可能になってしまうであろう


したがってこの意味において、主観的要因は海の面積や地球の半径と同様の確固とした事実なのである。この意味において主観的要因も、絶対に無視することのできない、立派な世界規定要因であることを要求している。


主観的要因はもう一つの世界法則なのであり、これに基づいている者は、客体に依存している者と同じように確かなもの永続的で妥当なもの・を拠り所にしているのである。

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