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体の防御システム

彼はヒーローではない。我々を見守る番人、沈黙の守護者。闇の騎士「ダークナイト」だ。➡ ジム・ゴードン「ダークナイト」


近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー1」排泄の医学と漢方


呼吸器から侵入した微生物はまず鼻の穴の中の長い毛によって大きな異物が受けとめられます。指で鼻をさわったり、くしゃみをしたりしてその異物を追い出してしまうこともできます。


また、鼻の中にはベタベタとした粘液がたえず分泌されており、細菌やウイルスが侵入してもとらえるようになっています。この分泌物の中には、リゾチームラクトフェリンなどの殺菌作用のある物質が含まれており、細菌やウイルスを殺してしまいます。


また、鼻の粘液中には免疫を担当する抗体の中でも分泌タイプのものがあります。IgAというもので、これが微生物とくっつき、だんごにしてしまい、生体内に侵入させないようにします。


これらの防御因子を通過してしまった微生物はのどの関所を通過しなければいけません。のどにある扁桃でとらえられるのです。のどを通過してしまった微生物は気管支に入っていきます。気管支には絨毛がたくさん生えていて物を上へあげる運動を行なっており、侵入してきた細菌やウイルスが粘液といっしょにからまり、タンとなって外へ排出されます。


気管支から肺胞にまで入ってしまった場合には、肺の監視役である肺胞マクロファージという異物を食べる細胞が働きます。


このマクロファージは取りこまれた細菌やウイルスを殺す物質を持っています。ハロゲンベルオキシダーゼなどの活性イオンですばやく殺し、ライソゾーム顆粒という消化酵素で微生物を溶かしてしまいます。ドロドロになったものは気管支の絨毛運動によって外に排泄されます。


これだけ多くの関所を通らなければ、微生物は体内に異侵入できないのです。ですから私たちはおいそれとかぜをひいたり、肺炎になったりしないのです。


■動画はマクロファージが貪食に伴い次亜塩素酸を放出しているところ。


免疫システムの働き

近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー1」排泄の医学と漢方


局所免疫を通過してしまうと、複雑なメカニズムを持つ免疫システムが働くようになります。一度かかったハシカは二度とかからないことはよく知られています。


それは消化、排泄の過程で一度マクロファージに貪食された異物の情報がマクロァージによってリンパ球という細胞に伝達されて記憶されるからです


リンパ球は骨髄でつくられT細胞とB細胞とに分化します。Tリンパ球は胸腺(Thymus)を通過するのでTリンパ球といわれます。Tリンパ球には多くの種類があり、それぞれ役目がちがいます。


マクロファージからの情報を拡大してB細胞へ伝えるのがヘルパーT細胞です。逆に伝達を抑制するのがサプレッサIT細胞です。Tリンパ球からBリンパ球に異物の情報が伝達されると、形質細胞をへて免疫グロブリンという抗体がつくられます。


この抗体にはIgA、D、M、E、Gの五種類がありますが、これらは目的に応じて担当するものが異なります


IgAは局所免疫のところで述べたように分泌液中に多く分泌され細菌による感染が起こらないようにするものです。IgMは異物にくっついたり補体を活性化する働きを持っています。


IgEはマスト細胞(肥満細胞)にくっつく抗体です。このマスト細胞はアレルギーをもたらす原因となる細胞です。いろいろな抗原刺激によってマスト細胞の細胞膜が破壊されると、ケミカルメディエーターという物質がばらまかれ、かゆみや発疹などが現われてくるのです


通常の人にはIgEはごくわずかしか存在しませんが、アレルギー体質の人には多量に存在します。


Th1とTh2



細胞性と液性

MBLライフサイエンス「細胞性免疫と液性免疫」より

https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Cellular-immunity-Humoral-immunity.html


獲得免疫は、活躍するヘルパーT細胞の種類や作用の仕方によって、さらに「細胞性免疫」と「液性免疫」に分けられます。


■細胞性免疫は局所的に起こる免疫反応で、CTL(細胞障害性T細胞)やマクロファージが直接細胞を攻撃する免疫反応です。ヘルパーT細胞の1種である「Th1細胞」が、樹状細胞が提示する抗原を認識して、サイトカインを産生し、そのサイトカインによって、マクロファージ、細胞傷害性T細胞(CTL)などの細胞が活性化されます。活性化されたCTLやマクロファージは、低分子を分泌して、病原体に感染した異常細胞を攻撃・排除します。一部のCTLは、メモリーT細胞となって、異物に対する細胞傷害活性を持ったまま宿主内に記憶されます。


■液性免疫は、B細胞と抗体が中心となる免疫反応です。ヘルパーT細胞「Th2細胞」の産生するサイトカインにより、B細胞が刺激されると、B細胞が形質細胞へと分化し、大量の抗体を産生し、抗体は体液中を循環して全身に広がります。また、刺激されたB細胞の一部は、抗原の情報を記憶しているメモリーB細胞となって、再度の感染の際には、最初の反応より迅速に、そしてより抗原に親和性が高い抗体を大量に産生することができます。抗体の役割には下記のようなものがあります。


1) 抗体は病原菌に結合し(オプソニン化)、食細胞の貪食を助けます。 2) 抗体には、ウイルスや毒素に結合することで感染力や毒性を失わせる作用(中和作用)を持つものがあります。 3) 抗原と結合した抗体は補体経路を活性化します。補体はオプソニン化、食細胞の炎症部位への誘導、血管拡張、溶菌、細胞傷害などをひきおこします。


■ ゴロー/イラストで学ぶ体の仕組み

なぜ子供は感染しにくいのか

公益財団法人・東京都医学総合研究所「子供はなぜ、新型コロナウイルスに感染しにくいのか?」より


SARS-CoV-2ウイルスは、大人に比べて子供には感染しにくい、あるいは感染しても重症化しないことが知られていました。SARS-CoV-2が大人に感染すると、呼吸系の症状が顕著であり、急性呼吸窮迫症候群の発症に至る場合があります


一方、子供の場合は呼吸器系の障害は稀ですが、生命の危機をもたらす小児多臓器系炎症性症候群を引き起こすことがあります。このような症状の違いを何がもたらすのかについて、米国コロンビア大学の研究者が解析し、11月5日付のNature Immunology誌に報告しました。


(中略)解析の結果、子供と大人はSARS-CoV-2の感染に対して異なる抗体応答を示すことが明らかとなりました。


(中略)子供は小児多臓器系炎症性症候群発症の有無にかかわらず、中和抗体のレベルは大人に比べて低く、抗体に対する抗ウイルス応答が微弱であることが明らかとなりました。


子供たちは、感染による症状の程度に関わらず、ほぼ同様の抗体応答を示したのに対して、大人の場合は、重症化した患者の抗体応答は、量や抗体の型、中和活性などいずれも高い値を示しました。


この論文の著者らは、「子供は、感染時間が大人に比較して、ずっと短く、抗体を産生する前に、ウイルスを効率よく排除してしまうのであろう」と想像しています。


著者らはさらに次のように述べています。「病原体への暴露は大部分、幼児あるいは子供の時に起こり、ウイルス特異的なメモリーが大人では形成されている。


「子供がSARS-CoV-2感染に対して重症化しない理由は、気管支上皮細胞でウイルスの受容体であるアンジオテンシン2 受容体(ACE2)の発現が低いこと、あるいは、自然免疫による防御システムがより効果的であることが考えられる


子供は、大人より多くのナイーブT細胞(抗原にさらされたことのないT細胞)を持っており、新しい病原体の検出を効率よく行うことができます。これに対して大人は、免疫メモリーに依存しており、新しい病原体に対して、子供のように柔軟に対応できないと考えられます。


(中略)子供は、ウイルスを、急速に除去してしまうため、広範な感染に至らず、ウイルス防御のために強い抗体反応を必要としないと想像されます。しかし、子供はどのようにウイルスを除去するのか、また大人の免疫システムでは、何が欠けているのか?など未解決の問題が多く残っています。


現在、研究者らは、感染に対する、T細胞応答、特に肺に存在するT細胞に着目して、子供と大人の違いを詳細に調べています。また、大人では子供に比べて、感染時に自然免疫応答が遅れるのはなぜか、も重要な問題です。これらの研究から、SARS—CoV-2感染が時には重症化し、時には大きな症状が出ない理由が明らかになることが期待されます。


自然免疫(非特異性免疫)

■体内に病原体などの異物が侵入するとマクロファージや樹状細胞がこれを食べる。自然免疫の病原体認識は大雑把。異物であればとりあえず食べる特異性の低い免疫(非特異性免疫)



■マクロファージは病原体を食べながらサイトカイン(細胞間で用いられる言葉のようなもの・情報伝達物質)を放出。➡血管内にいる好中球が血管外に飛び出してくる(血管外遊走)➡好中球も病原体をどんどん食べるが、自身も死んで膿になる。




■マクロファージ、樹状細胞、好中球は細胞内に入り込んだ病原体を食べることはできない。➡そこで、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が登場する。ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は感染した細胞そのものを破壊する。


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