アレルギー反応
近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー3」アレルギーと漢方
B細胞は、抗原 に直接結合することはなく、抗体を産生して、抗原を攻撃します。 抗体となるたんばく質には、電気泳動法や超遠心分離などによって、IgG,IgA,IgM,IgD,IgEの五つの種類があることが知られています。
IgAは唾液とか乳汁、涙、消化液 に含まれていて異物が体 の組織内 に入る前に排除する役目を果 たしています。
IgGは主として血液中 に含まれており、異物と反応して無毒化しようとしています。
IgMは分化 のまだみられない円口類や魚類に存在する免疫グロプリンによく似ていて、進化の過程で最も早く出現したものと考えられています。B細胞表面に最初に現われ、抗体としての産生が最も早いものです。働きはIgGとほぼ同じですが、免疫早期に出現し、IgG抗体が著明に増加するころには、減退するといわれています。
リウマチ因子、ワッセルマン抗体、ヒト完全IRh凝集素などは主にこのIgM型です。
IgDは、血清中 の濃度がごくわずかで、働きはよくわかっていませんが、発生の過程での免疫機能や抗体産生機能の分化などに何らかの関与をしているのではないかといわれています。
アレルギー患者の血清を健康人の腕に注射し、四八時間後にその患者 のアレルギーのもと、 つまリアレルゲンを同じところ に注射すると、 陽性の場合には赤くはれてきます (これをPK反応 と い っています)。 これは、アレルギー患者の血清の中にアレルゲンと反応 を起こす物質が入っているためであろうと想像され ました。
その正体は、1966年、石坂公成、照子両博士によって、明らかにされたのです。このIgEこそアレルギー反応の主役だったのです。