風が吹けば桶屋が儲かる
■国立研究開発法人/国立成育医療研究センター「新型コロナウイルス感染者では気管支喘息の基礎疾患保有率が有意に少ない」~アレルギー患者では、新型コロナウイルスが上皮細胞への侵入に用いる受容体の発現が低下している可能性~
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・アレルギー疾患に関連するサイトカイン(インターロイキン13)が、新型コロナウイルスが上皮細胞に侵入する際に結合する分子(アンジオテンシン変換酵素:ACE2)の発現を低下させ、逆に気管支喘息患者が産生しにくいと考えられるサイトカインがACE2の発現を増強。
・鼻粘膜上皮細胞や気道上皮細胞の新型コロナウイルスの受容体(ACE2受容体)の発現は、IL-13で刺激する(喘息患者の状態に近い)と減弱し、インターフェロン(IFN-α/γ)で刺激すると増強。
・ACE2の発現強度はアレルギーの強さの指標と逆相関する。アレルギー疾患患者の気道上皮細胞でのACE2の発現は健常者に比して低い。
日本小児アレルギー学会誌 第12巻 第3号267~272, 1998年
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アトピー性皮膚炎患者にツ反陽性者が少ないことは、これまでにも報告されてきたが、我々も小中学生を対象に、アレルギー性疾患とツベルクリン反応との関係を調査し、アレルギー性疾患を有する児童で はツ反陽性者が少ないことを報告してきた。
アレルギー性疾患を有する患者では、 IFN-γ と、 IL-4やIL-5、IL-10とのインバランスが報告されており、一方、これらのサイトカインは、細胞性免疫反応とも密接な関係があると報告されている。アレルギー性疾患では、一般的にはTh2タイプの反応が優位であるために、Th1タイプの反応が主体であるツ反を抑制しうると考えられるが、今回はアレルギー性疾患の中でも、アトピー性皮膚炎児においてのみ、ツ反の抑制がみられており、その機序については今後の検討が必要である。